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90/100ツアラーVやER34スカイラインの好敵手!
フルタイム4WDならではの安定した走り
1996年夏、新型ギャラン/レグナムの事前撮影会で三菱の喜連川テストコースに訪れた時のこと。遠くにバンクを望む高速周回路のストレート、そのど真ん中で不思議なオーラを放ちながらたたずむ無骨なセダン。それが3代目ギャランVR-4だった。
逆スラントした薄型ヘッドライト、開口部を大きく取ったスポイラー一体型フロントバンパー、ボリューム感満点の前後フェンダー…望遠レンズを通してファインダー越しに見たその姿は25年以上経った今でも、なぜか鮮明に覚えている。
3代目VR-4は1996年8月に登場。280psを誇る2.5LV6ツインターボの6A13型エンジンを搭載し、ビスカスカップリング式センターデフを持つフルタイム4WDで駆動する。クルマ雑誌編集者としてオンタイムで新車に触れられたこともあって、個人的にはそんな3代目を、初代や2代目とは少し違う感覚で捉えている。一言で言うと、より身近に感じられるのだ。
今回ぜひとも取材、試乗したかったのは5速MT車。つまり、前期型なら素のVR-4、後期型ならタイプVだ。そこでインターネットの中古車情報を見てみると、3代目VR-4自体はそこそこタマ数があるのにINVECS -II5速ATを載せたタイプSばかり。
そんな状況でやっと見つけた後期型タイプVは、5速MT車なのにメーカーオプションである、まさかの本革シート&木目調パネルを装着していたスーパーインテリア仕様。本革&ウッドコンビのナルディ製ステアリングホイール、木目調センターコンソールパネル、レザー調リッド付き大型センターコンソールボックスなどが専用装備となる。
タイプV、タイプSともにノーマルはシート生地がファブリックでブラック内装が基本だが、スーパーインテリア仕様では本革シートで内装色もベージュ&ブラックの2トーンとなり、ラグジュアリー感を強める。そもそも5速ATしか設定されないタイプSなら分からなくもないが、タイプVの5速MTモデルでスーパーインテリア仕様は珍しい。
気を取り直して実車を見ていく。まずは押し出しの強いボディ。2代目からかなり大きくなった感じもするが、カタログを開いて2台の寸法を比較すると…3代目は全長で50mm、全幅と全高でそれぞれ10mmずつしか大きくなってない。
しかも、ホイールベースの2635mm、前後トレッドの1510/1505mmは全く同じだし、車重にしてもたった30kg増の1460kgに留まっているのだ。感覚的には一回り大きいと思っていたので、実はほとんど変わらないというのは正直、驚きだった。
5本スポークタイプの純正16インチアルミホイール。リム幅は6.0Jで、標準装着品と同じ205/55R16サイズのプレイズPXが組み合わされる。尚、タイプVの標準ホイールはデザインが異なり、リム幅も6.5Jとワイドになる。
先代と同じ前後マルチリンク式サスペンションを採用するが、構成パーツのほぼ全てを新設計。それに伴い、各アームの位置を最適化してアームやサスペンション取り付け部の剛性アップも図られている。
また、フロントブレーキには大径16インチのベンチレーテッドディスクに片持ち2ポットキャリパーを、リヤブレーキには15インチソリッドディスクをセット。パワーに見合った制動性能を確保している。
ステンレス製EXマニを介して片バンクに1基ずつTD03タービンを備える2.5LV6の6A13。ツインターボ仕様はギャラン/レグナムVR-4の専用エンジンとされ、5速MTモデル、5速ATモデルを問わず280ps、37.0kgmと共通のスペックが与えられた。
ちなみに、バリエーションとしては175psのNA SOHC仕様が存在し、これはディアマンテにも搭載される。また、ボディ剛性確保のため装着されるフロントストラットタワーバーはVR-4専用品だ。
試乗して強く感じたのは、パワフルなエンジン特性だ。アクセルペダルを踏む右足の動きにレスポンス良くエンジンが反応しだすのは3000rpmから。同時に過給も高まってきて3500rpm付近で、ドーン! と蹴り出されるような加速が始まる。タコメーターの針は4000rpmを境にさらに弾みをつけ、パワーを一段と高めながらレブリミット目がけて跳ね上がっていく。6800rpmシフトで1速からフル加速していくと、2速へは4800rpmで、3速へは5000rpmでバトンタッチ。加速感が途切れることはない。
国産メーカーで排気量2.5Lのターボエンジンというとトヨタ1JZ-GTE、日産RB25DETがある。1JZ-GTEはJZX90マークIIの前期VVT-i無しツインターボにも、3代目VR-4発売直後に登場したJZX100チェイサーの後期VVT-i付きシングルターボにも乗ったし、RB25DET(NEO6)はER34スカイラインで乗った。
それらに対し、パフォーマンス的に肩を並べるのが6A13ツインターボだ。それぞれに乗ってみて、少なくとも前期1JZとRB25よりは上、後期1JZといい勝負…というのが個人的な評価になる。
さらに言えば、JZX90/100もER34もFRだが、3代目VR-4はフルタイム4WD。速さに加えて状況を問わず安定して走れることまで考えると、その魅力も倍増するわけだ。2代目譲りのプレステージ性を保ちつつ、パフォーマンスをより高めた3代目VR-4。世の中的に今ひとつ評価されなかったのが残念で仕方ない。
■SPECIFICATIONS
車両型式:EC5A
全長×全幅×全高:4680×1740×1420mm
ホイールベース:2635mm
トレッド(F/R):1510/1505mm
車両重量:1460kg
エンジン型式:6A13
エンジン形式:V6DOHC+ツインターボ
ボア×ストローク:φ81.0×80.8mm
排気量:2498cc 圧縮比:8.5:1
最高出力:280ps/5500rpm
最大トルク:37.0kgm/4000rpm
トランスミッション:5速MT
サスペンション形式:FRマルチリンク
ブレーキ:FRベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:FR205/55R16
TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
取材協力:オートプロデュースアクセス 群馬県伊勢崎市五目牛町318-2 TEL:0270-75-3401
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