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外観はGC8のまま中身をGDB以降にアップデート!
2.5Lのハイトルク仕様で街乗りも楽々
それまで世界ラリー選手権に参戦していたレガシィRSに代わる小型高性能マシンとして、インプレッサWRXは開発された。そして、スバルテクニカインターナショナルによるチューニングが施されたコンプリートカーがWRX STIだ。悪路に強いAWDや過酷な現場にも耐えうる強度を持つサスペンションなど、ラリーへの参戦を意識したクルマ造りが随所に散りばめられている。
平成4年に初代GC8が登場してから第4世代に当たるVABに至るまで、搭載エンジンはEJ20で一貫する。ただし、型式こそ長年変わらないものの、年を追うごとに改良が加えられ、カタログスペックは240psから308psまで進化してきた経緯がある。
これはエンジンに限らず、駆動系や足回りもリファインが繰り返されたため、全てが適応するわけではないが後継モデルのパーツ流用で年式の古いWRXを進化させられることは、チューニングベースとして大きなポイントと言えるだろう。
今回取材した“カーショップポルシェ”製作のインプレッサWRXタイプR STiバージョンⅥは、ストリートでのスポーツ走行に加えて、富士スピードウェイをメインにサーキット走行を楽しむフルチューン仕様だ。
エンジンはJUNの2.5Lストローカーキットが組まれた腰下に、トラストのTD06SH-25Gタービンという組み合わせで500psを発生。シリンダーのリブ補強やプラグホールクラック対策加工、ポート面研、燃焼室NC加工など、ブロックやヘッドにトラブルを防止する加工を施した上でJUNの264度ハイカムを投入している。また、GRBのパワステ配管を流用することで、タービンが目立つレイアウトを実現していることも特筆点だ。
エンジンマネージメントには、信頼性が高いF-CON Vプロ3.4を採用。グローブボックス内に美しくマウントしているのもポイントだ。
EJ20でハイパワーを狙っていくには前置きインタークーラーが必須。TD06SH-25Gタービンから前置きインタークーラーに向かうインマニ上のパイピングは、エアロボンネットのダクトと干渉しないようにオーバル形状に加工している。
EJ20のインジェクターラインは両バンクを通じて直列に供給されるが、最後のインジェクター前では燃圧がドロップしてしまうため気筒間補正が必要。この問題を解消するべく、片バンクごとに並列供給するフューエルラインへと再構築してトラブルを防いでいる。
ミッションはGDB純正の6速MTへと換装。GC8純正の5速MTより1つギヤが多い分、サーキットでパワーバンドを外さない走りがしやすくなる。
足回りは前後ともにジオメトリーに優れるGDBのサスペンションメンバー&アーム類に交換した上で、ZEALファンクションのポルシェオリジナル車高調をインストールする。
ブレーキキャリパーはフロントがエンドレスの6ポットで、リヤはGDB純正の2ポットを流用。ローターも前後スリットとし、強力なストッピングパワーを手にしている。
サイドバー付きのロールケージが本気仕様を物語るインテリア。ダッシュボードは割れもなく、年式を一切感じさせない状態の良さを誇る。
「エンジンが組み上がったばかりですが、低回転のトルクがノーマル排気量とは別モノで街乗りが楽になりました。もうすぐ富士スピードウェイに走りに行くので、自己ベストを更新したいと思っています」とはオーナーの丹澤さん。
最終的には、295タイヤをインストールするためのワイドボディ化を計画しているそうだが、外観こそ2ドアのGC8のまま、中身をGDBにアップデートさせた上で、ハードチューニングを施した現状スペックの渋さも魅力だ。
●取材協力:カーショップポルシェ 山梨県南アルプス市東南湖952-2 TEL:055-284-0813
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