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点火時期の制御環境を刷新!
トラブルの多い水回り対策もセットで実施すべし
年数が経過したことによって、安心して長く乗るためのコンディションアップも視野に入れたチューニングアプローチが要求されている第二世代GT-R。モデルデビューから数々のRB26をブラッシュアップしてきた“カンサイサービス”でも、近年は予防メンテに絡めてコストパフォーマンスを高めたメニューが人気を集めている。
さて、そんな老舗チューナーが新定番チューニングとして推すのは、点火時期の制御環境を刷新するクランク角センサーのセパレート化だ。
「純正のクランク角センサーはカム角とクランク角の双方をモニターする設計となっているため、タイミングベルトの振動を受けやすいカム軸だと高回転領域で回転信号が大きくブレてしまいます。このブレが失火を起こしたり、点火時期の煮詰めを阻んだりしていましたが、HKSのクランク角センサーコンバージョンキットでセンサーをセパレート化すれば、クランク軸から安定した回転信号が得られて、点火時期もしっかり煮詰められる。装着にはラジエターやクランクプーリーなどの脱着を伴いますから、ウォーターポンプ交換などトラブル率が高い水回りリフレッシュとの同時作業がオススメです」とは、代表の向井さんだ。
クランク軸から回転信号を検出するセンサーは海外からリリースされていたが、カンサイサービスではトラブル時にセンサー入手が困難な可能性があるため、導入を見送っていた。しかし、HKSからクランク角センサーコンバージョンキットが登場したことで、水回り対策と合わせた点火時期の制御環境刷新メニューをイチ押ししている。
比較グラフを見れば、クランク軸からの検出で安定した回転信号が得られていることがハッキリと分かるだろう。ちなみに、この大きくブレる回転信号がタコメーターの不自然な上昇を引き起こしていたため、クランク角センサーコンバージョンキット投入後はタコメーターが滑らかな動きとなるほどだ。
クランク軸にセットしたトリガークランクシャフトから回転信号を検出するため、装着時はプーリーやラジエターなどエンジン前方の補機類を脱着しての作業が必要となる。そのため、ウォーターポンプなど水回りリフレッシュの同時作業で工賃が節約できるわけだ。
チューンドの定番アイテムとなっていたN1ウォーターポンプは、すでに4万円ほど。カンサイサービスはストリート仕様ならN1は不要と判断し、価格が抑えられた純正品を使用している。現在は2万円ほどだが、純正パーツの著しい価格高騰も考慮して早期交換が賢明だ。
精度の高い点火制御が可能となるため、イグニッションコイルなどもアップデートしておくのがベスト。R35純正コイルやHKSスーパーファイヤーレーシングコイルプロなどを使用すれば点火性能強化に加え、BNR32やBCNR33で生じるパワトラトラブルも回避できる。
尚、クランク角センサーコンバージョンキットでエンジンマネージメントを行なうには、F-CON VプロやLINKといったフルコンが必要となる。コンデンサーのパンクなどECUトラブルも増えている第二世代GT-Rなので、この機会にフルコン制御も加えて愛車の安心感とパフォーマンスを大幅に引き上げておくといい。
取材車両は、ブースト圧1.4キロで531ps&67.4kgmを発揮する2.8L+GTⅢ-SSタービン仕様だ。クランク角センサーの移設で高精度な点火時期コントロールが可能になり、街乗りでの痛快さに加え、ワインディングなどで走りを楽しむ際にもストレスフリーなオールラウンダーに仕上げられている。
ちなみに、劣化すればベアリング部からの異音や始動不良といったトラブルを起こす純正クランク角センサーはBNR32/BCNR33で10万円オーバー、BNR34にいたっては生廃だ。
そうそう壊れないことから交換歴のない車両が大半と思われるが、純正交換でのリフレッシュ計画はナンセンス。HKSのクランク角センサーコンバージョンキット投入とともにECUリセッティングやウォーターポンプ交換など水回り対策まで一式を行なっても工賃含めて40万円ほどなので、費用対効果を考えれば迷わずカンサイサービス推奨の新定番チューニングに取り組むべきだと言えるだろう。
●取材協力:カンサイサービス 奈良県奈良市小倉町1080 TEL:0743-84-0126記事が選択されていません
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