「2.0Lクラスのタービンを713ccでブン回す!?」ストーリアX4は生粋のベイビーギャングだ!

反則級のキレっぷり

ピリ辛すぎる走りの質感がX4の証だ!

シャレードの後継的なモデルとして1998年2月に登場したストーリア。そこにラインナップされたのが、当初は限定受注生産モデル、翌1999年からカタログモデルに昇格した競技ベース車両のX4だ。排気量1000cc以下で争われる全日本ラリーAクラス制覇を目指して開発された。

エンジンは専用開発されたJC-DET型。軽自動車用JB-JL型をベースにストローク量を56.4mmから61.0mmに拡大し(ボア径61.0φは変更なし)、713ccの排気量を獲得。当時のターボ係数1.4を掛けて998ccとなり、1000cc以下の規定に合致していた。

タービンはBHレガシィのEJ20やYRVターボのK3-VETに採用されるIHI製RHF4B。本来2.0Lクラスで使われるタービンを713ccで回そうという時点で、いかに高回転高出力型のエンジン特性か想像できる。

もちろん、競技ベース車両だけに内外装も簡素化。ボディ色は白のみで、ボディサイドのメッキモールが省かれ、ホイールは黒いスチール製が標準となる。また、パワステ&パワーウインドウ&エアコンレスも当然で、交換前提と思われるシートはベースのストーリアと同じものが装着される。

ステアリングホイールやシフトノブは純正をキープ。取材車両は運転席側Aピラーにアペックス製ブースト計が追加されるだけだ。タコメーターは1万rpmフルスケールで8500rpm以上がレッドゾーン。ちなみに、ステアリングにはチルト機構が付かないため、ポジション調整範囲が非常に限られる。

前席はベースのストーリアと同じシートが装着される。サポート性は望めず、調整も前後スライドとリクライニングのみというベーシックなものだ。

軽自動車プラスαの排気量に対してタービン容量が明らかに大きいため、3000rpmまではターボ過給の恩恵がまるで感じられず、非常にもっさりした印象。レシオを大幅に低めたギヤ比とファイナル比のおかげで街乗りもこなせるが、エンジン特性だけを考えたら、ストリートユースには不向きだ。

いや、競技ベース車両だから日常域での扱いやすさなど始めから考慮していないわけで、重要なのはアクセルを踏み込んでいった時にどうなのかということ。そこで1速からの全開加速を試みる。

ブーストが立ち上がり、急激にパワーを高めるのは4500rpm付近から。タコメーターの針が5000rpmを超えると完全にパワーバンド突入する。そこからレッドゾーンが始まる8500rpmまで到達するのは、本当に一瞬の出来事だ。あまりにも鋭い吹け上がりに慌てながら2速にシフトアップすると、6400rpmでバトンタッチ。間髪入れずに怒涛の加速Gが再び襲いかかってくる。

さらに、8500rpmシフトだと3速には6600rpmで、4速には6200rpmで繋がるから、美味しいところを使い切れるわけだ。回すほどにパワーを繰り出すエンジンとクロスミッションの見事なコンビネーション。6000rpm以上を保っていれば、ストーリアX4は右足の動きに直結して前に出る。

競技に不要な快適装備を潔く切り捨て、速さに直結するパートには専用品を惜しみなく投入するという割り切り。ストーリアX4は国産ボーイズレーサーの中でも特に辛口の1台だ。

■SPECIFICATIONS
車両型式:M112S
全長×全幅×全高:3660(3690)×1600×1450mm
ホイールベース:2370mm
トレッド(F/R):1390/1370mm
車両重量:840(850)kg
エンジン型式:JC-DET
エンジン形式:直4DOHC+ターボ
ボア×ストローク:61.0φ×61.0mm
排気量:713cc 圧縮比:8.0:1
最高出力:120ps/7200rpm
最大トルク:13.0kgm/4800rpm
トランスミッション:5速MT
サスペンション形式(F/R):ストラット/3リンクリジッド
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ドラム
タイヤサイズ(F/R):165/65R14

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