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払い出しナンバーでも執念で希望の数字を獲得!
現代では到底入手困難な激レアアイテムのオンパレード
今回紹介する2台のレアな旧車は、驚くことにいずれも同一オーナーが所有する個体。GT-R以外のグレードも非常に希少な存在となった今、これほどまでに贅沢なコレクションもなかなか無いだろう。早速、それぞれの仕様をチェックしていこう。
SKYLINE 2000GT-X(KGC10)
まずは、1971年式のKGC10 2000GT-Xをベースに製作されたハコスカGT-R仕様から。
GT-Rと悩んだ末、「家族も乗るから」ということでGT-Xをチョイスしたそう。当時、知り合いがGT-Rに乗っていて、トラブルが頻発するのを見ていたこともGT-Rには積極的に手を出せない理由だった。
「最初、GT-XとGT-Rの違いはリヤのオーバーフェンダーくらいだと思ってたんです。でも、色々と話を聞いて調べていくうちに2台の違いが分かってきて。それからですよ、ガラスを交換したり、ダッツンコンペを装着したりするようになったのは。今の状態になるまで5年くらいかかりましたね」。
GT-Rで最も分かりやすい特徴と言えるリヤオーバーフェンダー。装着されるのは社外品で、純正よりもワイドな設計だ。タッピングビスを使う人もいるが、GT-Rと同じくベース部にアルミ製ワッシャーを挟み、リベットで固定している。
曇り止め用の熱線が入っていないリヤウインドウをはじめ、通称“白ガラス”をGT-Rから移植。
画像は運転席側の三角窓。各ガラスに刻印された日産のマークが純正品の証となる。リプロ品も販売されているが、表面が微妙に波打っているなど、精度やクオリティの面で純正品には及ばないのが現状だ。
当時、日産から箱入りの新品を購入したというフェンダーミラー。GT-Xはメッキ処理されるが、GT-Rはマットブラック仕上げとなるのが違い。これで外装の印象も大きく変わる。
リヤクォーターに装着されたSマーク。本来GT-Rは文字が赤いが、経年劣化によって色が剝がれ、GT系と同じ黒になってしまっている。
リヤセンタ―ガーニッシュが省かれたGT-Rは、テールランプベゼルの内側(本来はガーニッシュと接する部分)にリヤランプピースという専用パーツを装着。リプロ品は樹脂製だが、取材車両は日産純正のスチール製となる。
ステアリングホイールは、当時物のダッツンコンペ。ホーンボタン部がGT-R専用で、ラッパのマークは付かない。スピードメーターはGT-XもGT-Rも240km/hフルスケールで共通。タコメーターはGT-Xの8000rpmに対して、GT-Rは1万rpmフルスケールとなる。また、6連メーター左上のアナログ式時計はGT-Rではオプション設定だったため、外してパネルで塞がれている。
SKYLINE 2000GT(KGC110)
ハコスカの製作を進めながら、ケンメリでもR仕様を作りたいと思い始めたオーナー。パワーウインドウなどが装備される上級グレードGT-Xをベースにしたハコスカでの反省を活かし、ケンメリではベース車選びから拘り、装備が簡略化されるGTに狙いを定めた。
「ところが、よほど新車の時に売れたんでしょうね。中古車で出てくるのはGT-Xばかり。これはもう見つけられないんじゃないか…と心が折れかかっていた時、偶然に遭遇したのがこのGTだったんですよ」。
しかし、時をほぼ同じくしてオーナーはC型肝炎を患って入院。苦しい闘病生活に耐えられたのは、「退院したらケンメリでR仕様を作るぞ!!」と固く心に決めて、それをモチベーションにできたからだ。
細部を見ていく。前後オーバーフェンダーは社外品をリベット留め。「社外品はFRP製がほとんどですが、純正品はハコスカも含めて材質が異なりますね。FRPよりも柔軟性がある素材で、耐衝撃性が高いんですよ」とオーナー。
ケンメリでR仕様を作る場合、メカニカルなパートで最も高いハードルになりそうなのがリヤブレーキ。ドラム式のGTに対してGT-R(とGT-E・S)はディスク式。パーツ探しが難航しそうだが、オーナーは完成度を高めるために移植した。
GT系とはデザインが大きく異なるフロントマスク。一体式に見えるが、実は純正は3分割構造で、スチール製のセンター部と樹脂製のヘッドライト部がリベットで固定されている。
前期型にしか存在しないGT-R。取材車両は後期型ベースのため、まずリヤバンパー両端のリフレクターが前期用に戻される。テールランプは外側のメッキリングがGT-R専用で、リヤスポイラーは社外品を装着。後ろ側の4ヵ所をリベットで留め、上側はスポイラーに付く3本のスタッドボルトを貫通させトランクパネル内側からナットで固定する。ちなみに、純正スポイラーは日立製だ。
ステアリングホイールはGT-R専用。メーターパネルはアルミ製でGT-E・Sも似ているが、色味が異なる。240km/hフルスケールのスピードメーターはGT系も同じで、タコメーターをGT-R純正1万rpmに交換する。また、丸型のエアコン吹き出し口は前期用の角型に変更される。
R仕様ではルームミラーをレース用ワイドタイプに交換するのが定番だが、純正と同じく、防眩機能を持たない一番安いものを装着。「裏側に、イメージキャラクターを務めたメリーさんのサインが入っているので宝物です」と大岸さん。
フルバケットシートが標準のGT-Rは後席へのアクセスのため、助手席が跳ね上げ式となるが、シートレールを加工してそれを再現。シートは20年ほど前に限定販売されたダッツンスポーツシートの復刻版を装着する。
ナンバーはどちらも2桁の2000!
最後に。オーナーが2台のGT-R仕様を製作する上で譲れなかったのが、5(7)ナンバーだったそう。
「2桁の“2000”を手に入れるため、毎日のように陸運局に電話してナンバーの進み具合を確認。仕事そっちのけで足を運んでました。3桁になる直前だったので、“2000”はライバルが多かったですね。自分で言うのもなんですけど、これは努力の結晶だと思います」とのこと。
●取材協力:二輪ショップ大岸 京都府京都市山科区竹鼻扇町3-4 TEL:075-593-7007