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拡張制御で第二世代GT-Rを守る!
車両盗難に対してのセキュリティ機能も搭載
BNR32で8ビット、BCNR33/BNR34で16ビットと、基本設計の古さが否めない第二世代GT-Rの純正ECU。かつて、フルコンと言えば「ポテンシャルを追求するハイチューンドのもの」というイメージだったが、最近ではECU基盤を入れ替えるだけで手軽にフルコン化が果たせるプラグインモデルも数多い。そのため、コンデンサーパンクなどの経年劣化トラブルを回避する狙いも含め、フルコンを使ったECUチューンがトレンドとなってきた。
さて、ここで注目したいのが、オートセレクトが“守り”をテーマにLINKプラグインG4Xで第二世代GT-Rに行なっているセッティングアプローチだ。
LINKを筆頭とする優れた処理能力を持つフルコンには多彩な入出力が備えられていて、追加センサーを使った拡張制御が自由に行なえる。一般的には、マネージメント能力の底上げやNOS噴射条件の設定といったスペシャルチューンに使用されることが多いが、オートセレクトでは拡張制御を第二世代GT-Rの“守り”として活用。
フルコンならではのエンジンマネージメントでRB26のポテンシャルを引き出しつつ、トラブル発生に繋がる状況を感知してセーフティモード発動といったギミックも加えている。
「チューニングされた中古車を購入することも多い第二世代GT-Rは、オーナーでもコンディションが把握しきれない状態。かといって、フルリフレッシュするというのはコスト的にも非現実です。そう考えると、チューニング時はポテンシャルを引き出すだけでなく、どう守るかを意識することが重要ですね」とは、オートセレクト代表の澤さん。
フルコンの処理能力を発揮させるには、応答性の高い高精度なセンサーが欠かせない。純正からの信号入力も可能だが、センサーの追加に加えて吸気温度など既存センサーのアップデートにも取り組むべきだ。
光学式で測定精度が低下していたり、誤検出を起こしやすい純正クランク角センサーは、純正よりもリーズナブルなニュージーランド製のピックアップセンサーでアップデート。処理応答性に優れたLINK G4Xとの相性も上々だ。
油圧や燃圧のモニターに使用する圧力センサー。燃料ポンプが強化されていたとしても、経年劣化による性能低下は突然やってくる。ブーストと燃圧に対する回転制御マップを用意しておけば、ブローという最悪の事態は回避可能だ。
応答性に優れたA/Fセンサーを使いエンジンコンディションを把握。季節や走行シーンによって変化する環境へセッティングを最適化させる学習に使用する。
HKS製F-CON Vプロのオプションパーツとして用意されているミクスチャーコントローラーだが、オートセレクトではLINKに接続して燃調の微調整やレブリミッターの切り替えなどに活用。アイディア次第で多彩にアレンジできる自由度こそフルコンの醍醐味だ。
なお、オートセレクトがLINK G4Xの拡張制御で構築する“守り”は、エンジン保護だけでなくオーナーを苦悩させる車両盗難に対してのセキュリティまでもが含まれている。
具体的な制御内容には触れられないが、単にエンジンを始動不可とすれば消火器の噴射といった嫌がらせを受けるため、盗難後に犯人が車両を放置して逃げ出すしかない状況を、拡張制御によって生み出していくとのことだった。
秀逸なエンジンマネージメントで注目されるフルコンだが、拡張制御で得られる自由度の高さを活かせばポテンシャルばかりか安心感まで大きく高めることが可能。数え切れないほどのチューンドRを手掛けてきた老舗チューナーが繰り出す、新発想のセッティングアプローチは、これまで以上に第二世代GT-Rのフルコン化を促していくに違いない。
●取材協力:オートセレクト 大阪府堺市美原区丹上221-5 TEL:072-363-0383
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