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老舗ショップが提案する新定番チューン!
モーテックとの連携でパワー特性を自在にコントロール
多連スロットル化は、各シリンダーに均等な空気を供給し、高回転域でのエンジン性能を最大限に引き出すために有効な手段だ。スロットルから吸気バルブまでの距離が短いため、流速の立ち上がりが速くレスポンス向上も図れる。ただし、コストの問題もあってか国内では第二世代GT-Rの他、一部4A-G搭載車やレクサスLFA等、数えるほどしか採用例は存在しない。
そんな希有なる存在の純正6連スロットルを尊重し、現代の技術を駆使して第二世代GT-Rをアップデートしてきたのが福島県の“ジーイング”。高性能フルコンのモーテック(MoTeC)を使い、6連スロットルの電子制御化を実現してみせたのだ。
「ワイヤー式スロットルはアクセルペダルが重いので、ドライバーが踏み込むスピードにも限界があります。また、アクセルを全開にしていても意外にすぐに戻ってしまうものなのですが、電子制御スロットル化すればペダルも軽くなります。さらに、スロットルマップで開度調整が自在になるのも特徴です」と、ジーイング代表の前田さん。
例えば、アクセル開度が50%でもスロットルを100%開くように設定すればペダルを軽く踏み込むだけでフル加速するようになるし、逆も然り。アクセルを全開にしても50%しかスロットルが開かない燃費重視の特性にもできる。スロットル開度のパターンをいくか用意することで、まるで違うエンジンを何基も乗せたような雰囲気に…といったら言い過ぎかもしれないが、それくらいパワー特性を変えられるのだ。
と、言うのは簡単でも実現するのは容易いことではない。シングルスロットルの電子制御化とは異なり、作動するモーターや電源供給、はたまたリターンスプリングの設定など、問題は山積み。海外ではRB26用の6連電子スロットルキットも開発されているが、それを使えば万事OKというわけではない。あらゆるエンドユーザーが満足できるレベルにするためには、繊細な調律が要求される。
そこでジーイング前田さんは、研究と改良を重ねながらネガティ要素を徹底排除。最終的に、違和感が一切ないスロットル制御を実現した。
「GTレーサーの平手晃平選手に試乗をしてもらい、評価とセッティングをお願いしました。例えばコーナー立ち上がりの特性など、プロドライバーはここからパワーが欲しいっていうポイントがあるようで、制御マップを細かく調整していったら平手さん好みのフィーリングに仕上げることができました」と話す。
マネージメントには、モーテックのM150を使用。電子制御スロットルのコントロールマップを9チャンネルまで登録でき、車内からボタンひとつで切り替えることが可能。街乗りと高速、サーキットなどで特性を変えても良いし、コースにより使い分けるのも有効だろう。
「ようやく一般ユーザーさんに供給できる目途が付いたばかりですが、今時の新型車のように色々と制御できるようになるのも電スロ化のメリットですね。ハイレベルなトラクションコントロールを組み込むことも可能ですから」とは前田さん。
なお、このメニューのトータルコストは約250万円〜とのことで、簡単に手が届くものではないのも事実。しかし、この時代にRB26DETTチューンの進化形態が誕生し、それがメニューとして一般展開されるということは実に夢のある話だと思う。「いつかは電子制御スロットル化を…」と、妄想するだけでも胸が高まるというものだ。
●問い合わせ:ジーイングテクノエンジニアリング 福島県福島市下鳥渡字八幡塚25 TEL:024-545-8787
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