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想定外すぎるL20改スーパチャージャー仕様という選択肢!
オーナーの想いに200%で応えたチューナーの技
1969年にデビューした初代フェアレディZ。国内はもとより北米を中心にした世界市場で大ヒットし、累計55万台も販売された日本を代表するスポーツカーだ。
ちなみに、シャシーは大きく分類すると初期(1969〜1970年)、中期(1971〜1973年)、後期(1974〜1978年)の3種類に分けられる。1976年からは、当時の排気ガス規制(昭和51年規制)に対応したことで、S30(サンマル)からS31(サンイチ)へと型式が更新されている。
ここで紹介するチューンドは、インジェクション化された1976年式のS31だ。当時、稚拙なインジェクションシステムと排気抵抗の塊とも言えるペレット式触媒のコンビネーションは忌み嫌われ、チューニングユーザーの多くがL20を捨て、L28改パワーユニット換装の道を選んだという話は有名だ。
そんなL型チューニング事情であるが、この車両のオーナーの場合は少し考え方が異なり「L20エンジンをそのまま活かす」ということに拘ってパワーアップ計画を熟考。その末に辿り着いた結論が、HKSのGTスーパーチャージャーをボルトオンすることだった。
そしてこの仰天プランを実現に導いたのが、ワンオフのスーパーチャージャーチューニングを得意とする茨城県の名門ビルダー“KBC”だ。
車両を預かったKBCでは、まずエンジンの基本構成パーツはそのままに制御系をアップデート。F-CON Vプロ制御を前提に、RB26DETTのクランク角センサーや点火パーツ、スロットルポジションセンサー、アイドルコントロールバルブなどを総移植したのである。
そしてワンオフのブラケットやプーリーを製作した上で、HKSのGTS8550スーパーチャージャーをインストール。エンジンルームは想像以上に狭く、補機類や配管のレイアウトをまとめるのは相当苦労したそうだ。
なお、L20エンジン本体には一切手を加えないというのがルールだったため、サージタンクやスロットルなどはノーマルのままだ。
エキゾーストマフラーは、240Zを思わせる縦デュアル。EXマニ後に触媒を装着し、車検も問題なくパスできる仕様としている。
足回りは、スターロードのフルタップ車高調を軸にセットアップ。路面追従性能が非常に高く、オーナーもお気に入りなのだとか。
足元で存在感を主張するホイールは、鍛造レトロという新世界を切り拓いたボルクレーシングのTE37V(17インチ)。タイヤはブリヂストンのエコピア(225/50-17)を組み合わせる。
オリジナルの雰囲気をキープしたインテリア。見慣れないステアリングは、皮巻きにリビルトされたグラントだ。快適性も徹底追求し、軽自動車の電動パワーステアリングやキーレスエントリーシステムも組み込まれている。
狭いS31の室内にジャストフィットしたレトロ感漂うシートは、コブラのクラブマン。3連メーター(燃料/油圧/水温)はオートメーターのカーボンフェイスを奢る。
エクステリアは北米仕様でコンプリート。それに合わせてサイドミラーは1969年のカマロタイプへ、ルームミラーはムーンアイズのデイ&ナイトクロームミラーへとそれぞれ変更し、嫌みのない程度のアメリカンテイストで仕上げている。
こうして完成したGTスーパーチャージャー仕様は、エンジン腰下の強度限界を考慮した低ブースト設定ではあるものの、排気量を大幅に高めたような胸のすく加速感を獲得。高速巡航も楽しめるチューンドZにアップデートされたのだ。
KBCとしては、GTスーパーチャージャーの性能をフル発揮させるハイブースト仕様へのステップアップを願っているそうだが、オーナーは現状に大満足の様子。ここからの進化は、しばらく先の話になりそうだ。
●取材協力:KBC 茨城県古河市高野713-3 TEL:0280-91-1133
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