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的確なチューンで2.0Lエンジンとの性能差を克服!
約100万円でNDロードスターの真価を引き出す
アルトワークスからNSX/GT-Rに至るまで、幅広く国産スポーツカーを手掛ける“オートガレージM”。そんな名門チューナーが新たに導入したND型ロードスターは、『誰もが無理なく等身大で遊べるクルマ』というコンセプトでチューニングを進めているデモカーだ。
「最近、ND型でサーキットを走るオーナーさんが増えているんですよ。中古価格が手頃で、ベースポテンシャルも高いですからね。で、“ウチもしっかりと向き合う必要がある”と判断しました」と三浦代表。
オートガレージMは生粋のパワーチューナーだが、今回はその手腕をあえて封印。速く走らせるために無尽蔵にお金を掛けるのではなく、誰もが真似しやすいように、必要最低限のパーツ交換(車高調/LSD/一部のブッシュ交換/吸・排気系/ECU)のみに留めているのがポイントだ。
「この仕様でも、オーナードライブでセントラルサーキット1分35秒台、岡山国際サーキット1分50秒台が出ています。ここから先を狙う場合は、セカンドステップチューニングに移行という流れですね。何はともあれ、無理せずに長くサーキット走行を楽しんでもらいたいという思いが強いです」。
三浦代表が語るステップアップメニューとは、ずばり1.5Lの精密オーバーホールだ。
「現行車とはいえ、初期型はすでに9年落ち。距離も重み、当社のユーザーでも『ヘタリを感じる』という声も上がっています。2.0Lエンジン換装という手もありますが、ミッションへの負担が大きく強化クラッチの選択が難しい。そこで、ウチでは1.5Lのファインチューンエンジンの製作という方向性がベストと判断したんです」。
プランの内容は、フルバランス取り/ポート&燃焼室加工/メタルの組み合わせ変更による面圧低減/デッキとヘッドの面研による圧縮比アップ…など、完全なメカチューンレベル。これに試作ハイカム&ECUチューニングを組み合わせることで、中速域のトルクアップを図り、コーナーの立ち上がりで置いていかれる2.0Lとの差を補うことを狙っている。
そんな至宝のパワーユニットを活かし切るための吸排気チューンも徹底。吸気系は、オートエクゼのラムエアインテーク/レッグモータースポーツのインテークパイプ/2.0L用の純正スロットルを加工インストール。
一方の排気系は、フジツボのEPU(エキゾースト・パフォーマンス・ユニット)システム(エキマニは42.7φ→45φ/スポーツ触媒/マフラーはメイン60.5φ、出口76.3φ、1.5Lのみの設定)で統一。エンジン/ミッションメンバーは2.0L用に、リアデフのマウントは強化タイプにそれぞれ交換済みだ。
ちなみに、ECUチューニングはロシア製の書き換えツールであるエピファンを使用。電子制御スロットルの最適化が速さを引き出すための秘訣とのことだ。
足回りはオーリンズDFV車高調を軸に構築。フロントはメンバー側のロアアームに偏心カムを入れてアライメント調整(セッティング)の幅を広げ、リヤはナックル側ブッシュをピロへと打ち替え済みだ。ブレーキはフロントが990S用のブレンボ、リヤがNR-A用へと容量アップ。
ホイールはエンケイのPF06(8.0J+30)で、タイヤにはアドバンネオバAD09(215/45R16)をマッチング。加速重視のセットアップだ。スタビライザーブッシュは硬度の高いジュラコン素材に変更している。
機械式LSDは、クスコRSタイプFを投入。当初は2WAYでテストしていたが、コーナー進入時こそ姿勢が安定するものの、踏んだ時に引っ掛かり(抵抗)が強かったため、現在は1WAYへと変更。イニシャルトルクはかなり低めだ。LSDのヒート対策として、OS技研のデフカバーでオイル容量を引き上げている点も見逃せない。
なお、今回紹介したエンジンチューニングの価格は70万円前後を想定しているとのこと。エンジンの脱着/ECUのリセッティングを含めたとしても、100万円以内で十分収まる現実的なプランだ。ありそうでなかった1.5Lエンジンの精密オーバーホール+ファインチューンメニュー、楽しさを求めるND型ロードスター乗りには要チェックと言えるだろう。
●取材協力:オートガレージM 香川県高松市上天神町751-7 TEL:087-816-8777
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