「最新フルコンでS30Zを近代化!」古さを一切感じさせない名門オートセレクトの調律術に迫る

超高性能なフルコンで速さと安心感を引き出す!

プライベーター製作マシンにプロショップのセッティング技術を注入

RB26DETT、そしてVR38DETTと、GT-Rの魅力の引き出しを図る一方、旧車フリークからのリクエストに応えてL型チューンやキャブセッティングも行なっている“オートセレクト”。そんなトップチューナーが今回披露してくれたS30は、最新フルコンのLINKストームXを駆使して、フルチューンL型エンジンをインジェクション化したものだ。

「このZは長年付き合っている加工屋さんの愛車なのですが、手掛けたのはLINKのセッティングのみ。作る・走るが大好きな生粋のプライベーターなので、エンジンから足回りまでチューナー顔負けのレベルで入念に作り込まれています」とは、澤さん。

なお、オーナーがインジェクション&フルコン制御を選択したのは、ポテンシャルを引き出すためというより、季節や走行シーンを問わずに楽しめるL型チューンドに仕上げるためだ。

自分の考えが反映できるキャブセッティングこそ旧車の醍醐味と考えるユーザーも多いが、暑さが厳しい昨今の夏はパーコレーションが発生して満足に走ることができないなど、なにかとストレスは大きい。

しかし、インジェクション化と同時に高性能なフルコンによるエンジンマネージメントを行えば、レーシングプラグの8番を使っていても冬場に一発始動できるような扱いやすさ、そして高性能なセンサーによる各種補正でトラブルを抑制していく安心感まで手に入れられ、いたって普通に乗れる超進化系L型チューンドが完成する。詳しく見ていく。

ウォーターポンプの電動化などによってショーカーのような美しさを放つエンジンルームには、オーナーが組み上げた3.2LチューンのL型が鎮座。データ収集も趣味のひとつとのことで、図面から起こしてワンオフ製作した軽量クランクを投入し、走行後にはピストン状態を確認するといった拘りようだ。

ライジングの50φビレットスロットルキットに、980ccインジェクターをマッチング。シーケンシャル噴射で細やかにマネージメントされる燃調は回転域を問わない痛快なフィールだけでなく、マイナス4度でも一発始動する扱いやすさまで引き出していく。

イグニッションコイルは、ヒートシンクを備えたハマーH2純正を流用。8年前に製作した際は、LINKモンスーンでの同時点火としていたが、上位モデルのストームXが登場してシーケンシャル点火による細やかなセッティングが可能となった。

327.9ps&31.3kgmというピーク値だけを見れば、キャブチューンでも狙うことができるものだが、低中回転域もしっかりカバーするグラフ面積の広さは手に入れられない。インジェクション&フルコンのコンビネーションが、季節や走行シーンを問わない扱いやすさと頼もしさを引き出している。

フルコンの魅力は、高性能センサーからの情報収集でフレキシブルかつリニアなマネージメントが行える部分にある。ポテンシャルアップに貢献するだけでなく、ノッキングや吸気温度をモニターしての補正、走行データのロギングなど、愛機をガッチリと守る安心感も手に入れられるのだ。

S30は窓を開けて走っていると、排気ガスがリヤから巻き込むように室内へ侵入する。そのガソリン臭対策として汎用触媒で排気ガスを浄化するだけでなく、市街地での音量を抑制するリモコン操作式のバルブも組み込んだ。

オールラウンドな走りを一層強化するのが、S15シルビアの純正6速MTだ。3.9から4.3まで複数のファイナルギヤを組み込んだデフケースも用意しているが、現状のスペックには3.9がベストバランスとのこと。なお、車速はプロペラシャフト部から取り出し、LINKを介して電動パワステへ出力している。

最近のマルチディスプレイは高輝度でS30のインテリアに馴染まないと判断し、モノクロタイプのレーステクノロジー製をチョイス。走りや使い勝手は積極進化させつつ、往年の名車が持つ味わい深さはキープしていくスタンスだ。

「旧車はやっぱりキャブだ!というユーザーさんは多いですが、扱いやすさや楽しさはフルコン制御のインジェクションが上手ですね。ストリート主体で旧車を楽しもうと考えているなら、迷わず採用するべき。プラグ被りやパーコレーションといったキャブ車特有の悩みも解消されます」と澤さん。

進化を図る一方で、ナロースタイルのオリジナルを頑なに貫いているエクステリアを見れば、オーナーがどれだけS30とL型を愛してきたかが分かるだろう。

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●取材協力:オートセレクト 大阪府堺市美原区丹上221-5 TEL:072-363-0383

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【関連リンク】
オートセレクト
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