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旧車が持つネガな要素を徹底排除!
機関系&外装ともに最新スペックへとアップデート
新車レベルの輝きを放つKGC10、通称ハコスカの登場だ。製作したのは、香川県の旧車専門店として知られる“ワイズスタイル”。
「このハコスカは、オーナーの依頼でOS技研のTC24コンプリートエンジンを搭載するのが当初のプロジェクトでした。しかし、単にエンジンのパフォーマンスを高めるだけでは、扱いにくくなるばかりで結局は乗らないクルマになってしまいかねない。だから、ベースボディのリフレッシュ、足回りや操作系のアップデートなど、トータルで現行スポーツモデルに対抗できるレベルまで徹底的に手を入れました」と語るのは、ワイズスタイルの山地代表。
美しい輝きを放つエンジンは、名門“OS技研”が展開するL型ベースのDOHC 24バルブエンジン「TC24-B1Z」。1980年に同社が発売した幻のコンプリートエンジン「TC24-B1」の後継機として販売されているこのパワーユニットは、570万円というハイプライス設定ながらコンスタントに注文が入り、今ではバックオーダー3年待ちという状況だったりする。
しかも、ただ積み換えるのではなく、快適性を追求してOMEXスロットル&F-CON Vプロのコンビネーションでインジェクション制御化。なお、カムセンサーにはBNR34用を使っている。最高出力は400psを超えるとのことだ。
排気系はメイン80φのチタンエキゾーストをワンオフ製作し、1万回転まで回るTC24-B1Zのパフォーマンスを引き出す。空力悪化の原因なる凹凸や、周辺パーツの重量増を嫌ったテールレンズのインナー装着と合わせて、当時のレーシングスタイルを完全再現している。
駆動系チューンも抜かりなく、ミッションにはOS技研の7速シーケンシャルギアボックス「FR-7」を、クラッチには専用ツインプレートをそれぞれセット。400psのパワーを無駄なくシームレスに路面へと伝えるためのパーツチョイスだ。
エクステリアは、ボンネットからフェンダー、ドア、トランクまでオリジナルのドライカーボン製に交換済み。ヘッドライト部のレーシングジャケットやライトベゼルまでもがドライカーボン製というから恐れ入る。
バンパーレスのレーシングルックに合わせ、フロントにはスターロード製のオイルクーラーをセット。スタイリングのアクセントとしてはもちろん、高回転まで回して楽しむTC24-B1Zに対して冷却&潤滑系のアップデートも欠かせない要素と言える。
ドアミラーはビタローニのF1カリフォルニアンだ。全てを現代化するのではなく、要所に当時のフレーバーを散りばめることで、センス良く懐かしくも新しいスタイリングを作り上げているのだ。
カーボン地を活かしたオーバーフェンダーはスターロード製。圧倒的な深リムを有するブラックのホイールは、王道のワークマイスターS1だ。
室内も圧巻の仕上がりで、メーターはLINK MXGストラーダ7で集約すると共にカーボンパネルをレイアウトすることでダッシュ周りも古臭いイメージを完全払拭。また、ステアリングコラムはナンバー7製のチルト式電動パワステとラック&ピニオンギヤに変更されるため、ドライビングポジションの自由度も高まっている。
ハコスカの定番シートはローバックタイプやダッツンバケットだが、この車両は最新のレカロRMS2600Aを装着。現代のハイパフォーマンス向けフルバケを選択することで、旧車として凝り固まった固定観念からの脱却を図っている。もちろんシェルはドライカーボンタイプだ。
チューナーの山路代表は、自らステアリングを握りBNR32でドラッグレースにも参戦している人物。ハコスカやフェアレディZといった旧車のチューン&メンテナンスに限らず、第二世代GT-Rから最新スポーツまで幅広く対応するため、フレキシブルなチューニングプランを提供してくれる旧車の匠だ。
性能や快適性を求めるばかりでなく、当時の雰囲気を味わうという考え方もひとつの正解。しかし、当時実現できなかった性能を与え、なおかつ気軽に普段使いも可能なスペックで楽しむのも旧車オーナーの憧れでもある。スタイリングもパフォーマンスも手に入れたワイズスタイルのハコスカは、旧車ファンにとってまさに究極の進化系、完全体と言うべきものだ。
●取材協力:ワイズスタイル 香川県丸亀市飯山町坂元1192-6 TEL:0877-98-0455
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