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約800kgの軽量ボディにD15B改ターボを搭載!
自作のGT風エアロボディで筑波1分1秒台の実力!!
チューニングベースとしては超レアなGA1シティで、思い切りカスタムを楽しんでいるオーナー。GTマシン風のトンガリフェンダーで武装したルックスはインパクト抜群だが、実は速さも尋常ではなく、筑波サーキットで1分1秒台(取材時)を叩き出すほどの俊足ぶりなのだ。
特徴的なエクステリアは、十年来の知り合いというエアロ屋に教えてもらいながら、オーナー自らがFRPを駆使して理想のカタチを追求したワンオフメイドだ。
「ラフスケッチを起こしてマスターから製作したのですが、頭の中でイメージしていたのと出来上がりは、やっぱ違うんですよね。仕上がりに納得できず、毎年のように作り直してました」とオーナー。タイムが出やすい冬はサーキットに通い、春から秋までFRPの造形作業をするというサイクルで、結局、バンパーは4回、フェンダーも5回ほどリメイクしたというから、その情熱は相当なものだ。
しかも特筆すべきは、このワイドボディは見た目だけのハッタリ仕様ではないということ。
まず、バンパーサイドに設けたダクトから取り込んだフレッシュエアが、エンジンルーム内のエアクリーナーに直接導かれる仕組みを構築。さらに、前後とも約50mmワイド化されたブリスターフェンダーは軽量性を追求するあまり、パテ整形ではなくマスター型を起こしてFRPでイチから作り上げたほどなのだ。
アンダーディフューザーはRE雨宮製をベースに、カーボン&FRPを駆使してシティに合うよう加工。特徴的なGTウイングはインプレッサ用を譲り受け、アルミステーを自作したスペシャルだ。バーリング加工を施した補強ステーもDIYによる作品。
「筑波の区間タイムを見ると、高速コーナーがあるセクター3だけ飛び抜けて速いんです。富士スピードウェイでもそこそこのタイムが出ている(遊びに行って1分58秒台とか!※旧富士)ことを考えると、エアロが効いてるんでしょうね」。
となると気になってくるのが、エンジンや他パートの作り込み。タイムから想像すると相当なフルチューンスペックなのではないかと勘ぐってしまうが…「エンジンは4万円で買ってきたD15Bに乗せ換えただけですし、TD05タービンも中古。それにシティはパーツ代が安いので、かなりローコストで仕上がってますよ」とのこと。
D15Bとはシビックフェリオなどに搭載される1.5LのVTECユニットだ。そこにTD05タービンをドッキングすることで約200psの最高出力を獲得。欲を言えばもっとパワーが欲しいそうだが、そうなると駆動系の強化が必要になるなどコストがかさむので自粛しているそうだ。
ターボ搭載によりスペース確保が難しくなったトラスト製オイルクーラーはリヤにマウント。冷却系をキッチリ作り込んでいるので、周回を重ねても油温/水温は安定しているそうだ。
サーキット専用スペックということもあり、コクピット周りはシンプルかつ機能製を重視してメーターやコントローラーを配置。エアコンやオーディオなどの快適装備は全て撤去されている。
センターコンソールは自作のカーボンスペシャル。そこに制御用のEVCやF-CON Vプロをスッキリとインストールしている。
メインメーターは自作のカーボンパネル内にデフィのスーパースポーツクラスターをビルトイン。アルミパネルにダイノックシートを貼り込んだスイッチパネルも美しい仕上がりだ。
軽量化のためサンルーフは撤去して、自作のFRPパネルでカバー。強度を出すためにリブ形状を工夫するなど、拘りのメイキングは細部パートまで徹底している。車重は800kg弱だ。
ボディ剛性はピラーに溶接留めされたロールケージで確保。バーリング加工を施した補強プレートも自作したものだ。なお、スポット溶接増し等は行っていない。
元々は奥様の買い物用に購入したそうだが、徐々に姿形が変わっていき、気がつけば乗り手を選ぶジャジャ馬に変貌していた魔改造シティ。トルクステアはとにかく強烈で、ステアリングをねじ伏せるようなドライビングが必要なのだとか。
まさに究極のホットハッチ、オーナーの遊び心と熱いチューニング魂には心から感服だ。