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3台のDR30と暮らす変態的オーナーに迫る!
バランス重視の外装モディファイでスーパーシルエットの雰囲気を再現
1台はブリスターフェンダー、もう1台は昔ながらのオーバーフェンダーでワイドボディ化が図られた赤黒2トーンのDR30 2ドアハードトップ。
左右は割とキツめな感じで2台が収まる岡田さんの自宅ガレージを訪れたところで、一つ思い出した。「そういえば、HR30の5ドアハッチバックも持っていると言ってたっけ…」と。
それがどこに止まっているのかと思ったら、なんとガレージの奥に横向きで収まっていた。ガレージの幅を考えると何度切り返してもそこに入れるのは不可能。では、どうしているのかというと4輪にゴージャッキを噛ませ、人力で押しながら入れたり出したりしているという。もはや1分の1スケールのミニカーやプラモデルに等しいという話だ。
「ガレージを作る時、2台入れば良いやと思っていたんですけど、クルマが増えてしまって。でも、スペース的にイケそうだったので、無理やり収めている感じですね」と岡田さんが笑う。
クルマ好きで、小さい頃からトミカカラーのスカイラインスーパーシルエットに憧れていた岡田さんは、18歳になって運転免許を取ると先輩が乗っていたDR30を譲ってもらうことに。
これが、オーバーフェンダー仕様でミッキートンプソンの15インチアルミホイール(前後10J−42)を履く前期型RSターボ(1号機)だ。
その後、後期型セダンRSのキャブ仕様(2号機)を手に入れ、R30シリーズの珍種と言える5ドアハッチバックGT-EX(3号機)も購入。このHR30はすでにフロントマスクがDR30後期型の鉄仮面に移植され、エンジンレスの状態だった。
「どうせFJ20を載せるつもりだったので、むしろエンジンレスで好都合でした」。
ファミリーカーとして使える3号機を迎え入れた岡田さんは2号機を手放し、大阪の専門店ジェネシスオートでブリスターフェンダー化が進められていた後期型RS-XターボC(4号機)を購入して仕上げることになった。
つまり、岡田さんは今、1号機、3号機、4号機の3台を所有しているのだ。NAとターボでチューニング内容もそれぞれ異なるが、搭載されるエンジンがどれもFJ20となれば、これはもう重度のマニアと言って差し支えない。
現状、1号機はフロントストラットタワーにクラックが入り、車検が切れた状態でレストア待ち。実働状態にあるのは3号機と4号機で、今回は“スーパーシルエットのストリート仕様”とも言える4号機をメインに撮影させてもらった。
後期型RS-XターボCをベースに、まずフロントマスクとリヤコンビネーションランプを交換して前期ルックに変更。ブリスターフェンダーを始め、前方に大きく突き出したフロントスポイラーやボンネットに開けられたアウトレットダクト、左右に張り出したサイドステップなどが、迫力をプラスする。
ハブを5穴化した上でセットされたホイールは、以前RSターボで履いていたワークマイスターS1。フロント10J×16オフセット-16、リヤ9J×17オフセット−40の前後異径で、前後とも5mmスペーサーを介して装着。そこに組み合わされるのはフロント225/45、リヤ235/45サイズのシバタイヤだ。
カムカバーをグリーンメタリックでペイント、インマニ&サージタンクは黒の結晶塗装とされたエンジン。タービンは純正改ハイフローが組まれ、インタークーラーは当時物の前置きタイプが装着される。エンジン制御を行うのは、久々にその名を耳にした懐かしのKS-ROM。最大ブースト圧は1.0キロに設定され、250psを発揮する。
メータークラスター左側にオートゲージ製タコメーター、右側にはロールケージで一部隠れてしまっているが、GReddyブースト計が装着される。ブースト圧はステアリングスポークの間に覗く機械式コントローラー、トラストTVVCで調整。
実際のスーパーシルエットは全長5mオーバー、全幅も2mに迫る勢いで、さすがにそのサイズでは街乗りでの取り回しを考えると無理がある。そうなると、「いかにスーパーシルエットっぽく見せるか」ということが重要。このDR30はボディ全体のバランスに違和感がなく、一目でスーパーシルエットをモチーフにしていることが分かる。
恐らくブリスターフェンダーの形状や張り出し量を始め、バンパーやサイドステップとのデザイン的な連続性なども巧みに計算されているからこそ、このスタイルが成立しているに違いない。ちなみに、車検証上の全幅は180cmとなっている。
ポイントは、スーパーシルエットのスタイリングを完全コピーするのではなく、あくまでも“雰囲気を再現”しているということ。そういう意味で岡田さんのDR30は、非常に完成度が高いと思うのだ。