目次
ターボキット投入で走りが変貌!
峠走りも楽しいリーガルスペック
“ドライバーを鍛えるクルマ”。新旧ハチロクに通じる特徴を一言で表現するとすれば、そんなフレーズがぴたりとハマる。突出したパワーがあるわけでも、優れたサスペンションシステムを備えているわけでもない。しかし、優れた応答性とバランスの良さを持ち、腕次第ではスペックに勝るライバルマシンをぶち抜くこともできる。
そんな世界観は『頭文字D』で表現され、続編として描かれる『MFゴースト』にも踏襲された。AE86から86、そしてGR86と世代が移り変わっても、その根底にあるものは変わらないのと同じように…。クルマを操る楽しさがあるライトウェイトFRスポーツは、世界中のクルマ好きを熱狂させる魅力に溢れている。
前置きが長くなってしまったが、真っ赤なボディに86のゼッケンを貼り込んだこのZN6は『MFゴースト』の主人公、片桐夏向が駆るマシンのレプリカ仕様。オーナーはアニメ『MFゴースト』の音響監督として手腕を奮う三間雅文さん。劇中でのリアリティを追求すべく、自らZN6を入手してレプリカ仕様に仕上げているのだ。
公道レースを描く『MFゴースト』では、圧倒的なパフォーマンスを持つライバル勢に対抗すべく、片桐夏向のZN6も徐々にブラッシュアップが図られていく。この“BLITZ MFゴースト86レプリカ”は、そうした劇中のストーリーに合わせてカスタマイズしているのも見どころ。
東京オートサロン2024では、NAチューンとなる第2戦「芦ノ湖GT」仕様が披露されたが、今回の取材時はターボ化&カーボンボンネットで武装した第3戦「ザ・ペニンシュラ真鶴」仕様へとアップデートされていた。
その詳細をチェックしていこう。パワー不足が指摘されることもあるFA20エンジンは、排気量をそのままにブリッツのボルトオンターボキットを追加。ノーマルから約80ps上乗せとなる最高出力258.4ps、最大トルク30.9kgmを手に入れている。
ターボ化というと敷居の高さを感じるかもしれないが、このキットでは専用キャタライザーやインタークーラーなど、取り付けに必要なものを同梱。専用データ入りのチューニングECUも設定されるなど、安心して導入できるターボキットに仕上げられている。
大幅なパワーアップに伴い、必須となってくるクーリング対策も抜かりなし。エンジンオイルクーラーを追加して油温の安定化を図る。
エキゾーストマフラーは、ニュルスペックVSカスタムエディションをチョイス。メイン60.5φ→50.9φ×2と、ターボ仕様にしても十分な容量を備える。左右出しのテールエンドは脱着も可能となっており、チタンカラーに変更することも可能。もちろん保安基準適合モデルだ。
コクピット内には3連メーターを装備し、コンディション把握が図られた。ナルディクラシックやルームミラーにかけられたイヤホン、シフトノブ後方に設けられたキルスイッチ(ダミー)などは、劇中仕様そのもの。
シートは運転席、助手席ともにレカロのセミバケットシートSR-6を装着する。
速さの要となる足回りは、ストリートでの快適性とスポーツ性能を高次元でバランスさせたフルスペック車高調、『ダンパーZZ-RスペックDSCプラス』をチョイス。車内から減衰力を自在にコントロールできるのもポイントだ。ブレーキはビッグキャリパーキットII(F6ポット+355mmローター R4ポット+330mmローター)に置き換えることで、余裕がある制動性能を手に入れている。
ホイールはエンケイの5スポークモデル、PF05(FR8.5J+45)をチョイス。タイヤはダンロップのスポーツラジアル、ディレッツァZIII(FR235/40R18)を組み合わせる。
このチューンドをワインディングで試乗した佐々木雅弘選手は、「現行スポーツモデルと比べると、設計の古さを感じてしまう部分はある。フロントは入っていくけど、カーブの継ぎ目なんかではリヤの挙動がちょっと落ち着かないこともあった。とはいえ、やっぱり86はベース車としての素性が良い! キビキビと軽快に走れるFRらしいクルマの動きで、こういう峠道ではアクセルを踏み切れる楽しさもある。何より手軽だし、ドラテクを磨くにも最適だよね。ターボとのマッチングも良くて、エンジンパワーに不満を感じることもなかった。よく考えられたチューニングカーだよ」とインプレッション。
ツボを押さえたトータルチューニングにより、戦闘力が高められたBLITZ MFゴースト86レプリカ。ドライバーのスキルとチューニング次第では、格上のライバル勢と張り合うことも可能。そんなクルマ好きの理想を具現化した好例と言えるのではなかろうか。
●問い合わせ:ブリッツ TEL:0422-60-2277
【関連リンク】
ブリッツ
https://www.blitz.co.jp/