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重量級でも走りは絶品! 超快適な豪快加速サルーンの誕生だ
ビックシングルターボを全域で使える楽しさ!
高出力を狙ったビッグシングルターボ仕様は、フルブースト以降の領域こそ強烈な速さを体感できるが、反面、低速域ではどうしても“重さ”を感じてしまうことがある。それでは、ストップ&ゴーの多い市街地走行ではストレスが溜まるばかりだ…。
そうしたパワーチューニングのネガ要素を解決しようと、過給機チューニングを知り尽くした“J&K”の神保代表が完成させたのが、独自のツインチャージシステムだ。
ツインチャージャーと聞くと、ピークパワー重視のハイチューンに思われがちだが、J&Kが展開する直列過給は考え方がまるで異なる。最高出力を高めるのではなく、実用域のトルクバンドを広げることを目的としているのだ。
実際に、過圧された吸気は2つの過給機を通過してエンジンへと送り込まれるため、どちらかの過給機が最大風量に達したポイント(もしくは任意に設定したポイント)が出力上のピーク値ということになる。
ここで紹介するオートマのJZS161アリストは、そんな直列ツインチャージャー仕様を製作するキッカケとなった1台だ。
快適装備満載の完全ストリートスペックのため、総重量は限りなく2トンに近い。心臓部の2JZ-GTEは、腰下強化+TO4Zタービンで600ps(最大ブースト圧1.4キロ)までドーピングされていたが、ストリートでの使い勝手の悪さにオーナーが耐えられなくなったそうだ。
そこで、TO4ZタービンはそのままにHKSのGTS8550遠心式スーパーチャージャーを直列配置で追加。GTS8550からダイレクトにTO4Zタービンのインデュースにパイピングすることで、ビックシングルターボのレスポンス不足をカバーしたのだ。
この組み合わせにより、アクセルひと踏み目から驚くほどリニアにブースト圧が立ち上がり、そのままハイブーストターボの加速力を発揮するという、まさに理想のハイパワーユニットが完成。
そのフィーリングはターボチューンというよりは、どちらかというと大排気量のチューンドNAのようななめらかさを有しており、体感的には6.0LクラスのNAに乗っているようでもある。
なお、JZS161特有のETCS-i(電子制御スロットル)は、内部を機械式にすることでチューンドエンジンに対応させている。
重要なエンジンマネージメントはF-CON Vプロが担当。スーパーチャージャーのみならばNAと同じようなセッティングでいけるが、ツインチャージャーとなるとA/Fや点火時期の設定もシビアになってくるため、チューナーの腕の見せ所だ。
600psを使い切れるようにオートマも強化済み。ステアリングに装着されたシフトボタンで操作すれば、さらに強烈な加速を楽しむことも可能だ。
2トン近い車重をを感じさせないほどの加速力を発揮するためブレーキチューンは必須。この車両は、エンドレスの6&4ポッドキャリパーシステムを投入して制動力を大幅にアップさせている。
実際に試乗もさせてもらったが、とにかくトルクフルでフレキシブル。非常に扱いやすいので、気を使うということもない。風切り音だけが耳に入る室内ではスーパーチャージャー独特の作動音も聞こえず、スピードメーターの針だけに注意が必要だ。
強大なトルクに合わせて強化されたオートマのシフトショックだけが、唯一身体に「ノーマルとは違う」ことを伝えてくる。ブレーキやサスペンションなど、トータルで仕上げられたこの完成度の高さは純粋に欲しいと思わせるだけの説得力があった。
●取材協力:J&K 千葉県山武郡九十九里町真亀629 TEL:0475-76-2714
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