「28歳の若者が選んだV8搭載M3×最新制御エアサスのパッケージ」E92・M3を現代的スタンススタイルにフルリメイク!

自然吸気と古典的MTに昂る

この世代限りで終わったV8 M3を走れるエアサスでアップデート

30年に渡って続いた平成の世も令和に変わって早6年。平成ど真ん中の平成15年(2003年)生まれでもハタチを過ぎているわけで、世のトレンドが大きく移り変わるのもむべなるかなだ。08年式のE92型M3に乗る木村龍吉さんは、平成8年生まれの28歳。父の影響もあり、気がついたら自然とクルマ好きになっていたと話す。

「同世代の友達がポケモンにハマってる中、家でグランツーリスモばっかやってました。オプションやビデオオプションもよく見てましたね(笑)」。

M3に乗る前はFD2とFK8のシビックタイプRを乗り継いできた木村さん。クルマに求める絶対条件はエンジンの気持ちよさとMTであることだ。FD2はワイドフェンダーとエアサスを組んで楽しんだが、誤算だったと語るのがFK8だ。

「FK8はレブマッチシステムがよくできていて、敢えてMTを選んでるのに自分で回転数を合わせる必要もなく、やることがなさすぎて逆につまんなかったですね。エンジンもやっぱNAが好きだなって改めて思って、すぐ手放しちゃいました」。

そんな感じで木村さんの車歴の中では短命に終わったFK8にかわり、新たな愛車に選ばれたのがE92のM3。父親がM5に乗っていた影響もあるが、何より4.0LのS65型V8自然吸気エンジンの回転フィールと音に痺れた。8連の独立スロットルが奏でる吸気音にスイートスポットを刺激されまくり、6速MTを選べることも条件をクリアしていた。

クルマの購入とほぼ同時に取り掛かったのが、ムーンテックでのエアサスインストールとホイールのリバレル。木村さんとムーンテック代表の田口さんは、田口さんが独立開業する前からよく知る仲。木村さんはビルダーとしてムーンテックに全幅の信頼を置いている。

エアサスは、ベローズエアバッグと32段階の減衰力調整機構付き全長調整式ダンパーを組み合わせたPloom(プルーム)エアサスペンションシステムを装着。Ploomのエアサスは調整式ピロアッパーマウントを備え、32段階の減衰力調整機構も備える。また、アッパーマウントの近くに固定されている筒状のパーツは、純正の電子制御ダンパーの機能を無効にするEDCキャンセラー。サスペンション交換時の必需品だ。

エアリフトのマネージメント、エアタンク、コンプレッサーなどはトランクルーム内に装備。タンクとマネージメントは上から吊り下げ、コンプレッサーは左側面の空きスペースを有効活用した。床下に隠して荷室を広く使うこともできるが、見映えを重視する。

ホイールはACシュニッツァータイプ1の16インチをベースに18インチへとリバレル。車高全下げ着地状態でフェンダーに被り、走行車高でツライチになるサイズ(F9.0J+3 R9.5J+27)を実現させている。

走行時のタイヤタッチを避け、極限の着地も追求するため、インナーフェンダーとフレームを加工。古典的と言えば古典的だが、M3でもこれをやるのが木村さんの強い拘りだ。同様にデフカバーのフィンも5〜6cm削って短縮させてある。

また、ホイールがACシュニッツァーになったことで、エクステリアもレーシーな雰囲気を出そうと考え、VARISのドライカーボンボンネット、トランク、GTウイングを装着。GT4ルックのカーボン製リップやサイドスカート、リヤディフューザーも取り入れ、モータースポーツルックを獲得している。

「正直、M3は車高調で低さを決める方法の方が絶対的にカッコ良いと思いますし、走りの限界領域も明らかにそっちの方が高いとは思います。ただ、自分はそれに近いレベルをエアサスでもできることを証明したい。ワインディングでもドリフトでも走れるセッティングで、置きのイベントに出た時や日常的に走る時は欲しい車高に簡単に合わせられる。着地してるけどレーシーっていう、両方のカッコ良さを追求しようと思うと、自然にエアサスという選択になっちゃうんです」。

V8エンジンは中間にチタンパイプを採用し、抜けのいいステンレスマフラーも装備。K&Nの純正形状エアクリーナーを入れて、吸排気の効率をアップさせている。また、DME(=ECU)の書き換えも行なってはいるものの、リミッターを解除している程度で、パワーやレスポンスなどは特にイジっていないそうだ。

「自分はパワーとか速さというより、回して気持ち良いかどうかを一番重視しています。S65はノーマルでも420psありますし、今後もカリカリにチューニングしていくつもりはありません。でも、走ることは大好きなので、ドリフトの腕はこれからも上げていきたい。エアサス入れた輸入車でも、ちゃんと走れるんだぞってところを見せていきたいです」。

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Photo:Akio HIRANO Text:Hideo KOBAYASHI

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