目次
アメ車好きの織戸学がぶった切るトラッカー対決!
今回フィーチャーするのは、NATSの学生達が手がけたR32ベースの“NATS OSTY”と、エビスサーキットの熊久保支配人が製作したRPS13ベースの“K-STYLE Kトラ”だ。違和感なくトラック仕様に改造されたこの2台を、若かりし頃のMAX織戸が試す!(OPTION誌2000年4月号より抜粋)
走りもイケるドリフトスペックのFRローライダー
片やスカイラインベースのアメリカンローライダー風味、片や180SXベースの本格ドリフトスペック。コンセプトは異なるが、どちらもFRで違和感なくトラック化されている点では共通している。
そんな想定外チューンドを、アメリカンモータースポーツ大好きの織戸学選手がサーキットで緊急試乗! それぞれの個性と作り込みを徹底してもらった。
まずは、日本自動車大学校(NATS)の学生達が製作したスカイライントラックから。
40cm延長のロングベッド仕様で、まさにスポーティなローライダーという出で立ちだ。どちらかというと、どこかのトラックにR32スカイライン顔をスワップしたかのような雰囲気で、スタイリングは非常に自然なもの。
荷台部まできっちりと造形されていることもあり、リヤビューは完全に国籍不明のトラックだ。このアングルから、スカイラインがベースだと気づく人はまずいないだろう。
Bピラーから後ろのボディ上部をバッサリ切り落として鉄板で荷台を製作。そのため、室内は後席が取り払われてるのはもちろん、後ろを振り返れば即リヤガラスという状態。シートは運転席がフルバケ、助手席はR32純正だ。
延長された荷台はかなりの広さ。「好きだわー、こういう改造。パラソルやボードを積んで、海にでも出掛けたら超良い雰囲気出るね!」と織戸選手。
試乗した感想は「リヤが長い分、ノーマルに比べると穏やかな動き…ツアラーVみたいな感じ。挙動がマイルドだからドリフトビギナーには良いかもね(笑) ノーマルボディと比べると、高速コーナーでのヨレが少し気になるかな」とのこと。
さらに「ドリフト向きの車両ではないけど、もう少しリヤの剛性を上げれば十分楽しめるポテンシャルがあるよ! 学生が学校でこんなクルマ作っちゃうなんて本当に凄いよね」と絶賛。
続いては、エビスサーキットの熊久保支配人が想定外ドリ車として製作したシルエイティトラック。ベタベタに落とされた車高に、K-STYLEの“くま顔バンパー”がまた低さを強調している。
心臓部のSR20DETにも手が入り、東名パワードのハイカムにアペックスのAX60タービンを組み合わせて実測300psを発揮。ドリフト仕様としては十分すぎるパワーだ。
室内を覆うロールケージは、荷台部に貫通してリヤのストラットタワーと接合するスペシャル。また、バケットシートやレーシングハーネスは外装色に合わせてブルーで統一されている。
コンセプトは、タイヤをたくさん積めるエンジョイドリ車。大掛かりなモディファイが施されているが、リヤ周りを徹底的に剛性アップしたことで、支配人いわく「180SXより高剛性で軽くなってるよ」とのこと。見た目とは裏腹に、ハイスペックなドリ車というわけだ。
ボディをストレッチしていない他、ボディ補強やリヤフェンダーの関係でNATSのスカイラインと比べると手狭な荷台部。「ちょっと狭いお風呂みたいな感じかな!」と織戸選手。
試乗インプレッションでは「これは楽しい! 後ろが軽くてドリフトに持ち込むのがとても楽。パワーもあって乗りやすいよ。乗り味は、シルビアとハチロクを混ぜたような不思議な感覚だね」と、ドリ車としての高い走行性能を評価した。
北米を中心に、海外のマーケットでは高い人気を誇るトラック。アメリカかぶれを自称する織戸選手は「この2台みたいなスタイルで遊べるクルマが、日本にも増えたら最高なんだけどねぇ!」と興奮しきりだった。