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ここまで下げてもサーキットアタックへの支障は一切無し!
走れる車高短を極めたフルチューンBCNR33登場
大阪の“フルステージ”が手がけたこのBCNR33は、ストイックに速さを追求するだけでなく、チューニングカーらしいカッコ良さにも拘った1台だ。
2.8L+T88-33Dタービンで700psオーバーを発揮するハイチューンドだが、もちろん、このままの車高で本気アタックのタイム出しにも対応できるようセットアップ。足回りを徹底的に煮詰めることで、“ミリ単位でしなやかに動く足”を作り上げているのだ。細かく見ていこう。
ボディ側の加工を極力避けるため、タイヤとホイールは265サイズと10.5Jの18インチを組み合わせる。タイヤハウス容量だけを考えれば、11.0J&295サイズといったマッチングも可能だが、それではステア操作時にタイヤハウスとの干渉が生じやすくなり、大幅なボディ加工が要求されてしまうという。
265サイズならインナーフェンダーの取り外しやノーマルのブローオフバルブ移設といった処理で、車高を落としていってもクリアランスが確保できるのだ。
フロントサスペンションは、ネガティブキャンバーをアッパーアームのショート化だけで付けようとすると、極低車高でのストローク時にアッパーアームがボディと干渉する。
そのため、ロワアームにもイケヤフォーミュラの調整式を導入し、アーム長を伸ばすことで3度半のネガキャンを作り出している。車高調はペンスキーのオリジナルセッティング仕様で、スプリングにはスウィフト(FR18kg/mm)をセット。
フロント同様に、リヤの各アームもイケヤフォーミュラの調整式ピロアームを導入。ブッシュ特有の無駄な動きを排除し、細やかなアライメント調整を行っている。ここでもフロントと同じ方法で25mmのワイドトレッド化を実施。キャンバー角はネガ3度の設定だ。
ロワアームを伸ばすと、当然ドライブシャフトの長さが足りなくなる。そのためフルステージでは、20mmのワンオフスペーサーをジョイントにかませて辻褄を合わせている。ハイキャスキャンセルはトラブル要因を減らす狙いで、構成パーツを少なくできるクスコのドラッグロッドをチョイスする。
ツメ折りだけではストローク時に干渉してしまうため、フェンダーはノーマルラインを崩さないように前後とも緩やかに叩き出している。タイヤハウス内を大幅に叩いたりカットすることを考えれば、手軽かつリーズナブルなスペース確保手段だ。
ホイールは10.5J×18+12サイズのフルステージオリジナル『GTM7』で、タイヤはアドバンA050をマッチング。前後とも3度以上のネガティブキャンバーを与えているが、アタック走行後のトレッド面からは全面がしっかりと使いきれていることが伝わってくる減り具合だった。
極低車高の走りとインパクトを高め上げているのが、圧倒的なダウンフォースを獲得する空力パーツ。トラクションを高めつつ伸びの動きを抑え込むことで、低車高でも動かせる足がセットアップ可能となるのだ。
エアロは、フロントがオートセレクトのリップスポイラー&フロントカナードにワンオフディフューザーという組み合わせ。リヤにはGTウイングとBNR34純正ディフューザーを組んでいる。
「チューニングカーにとってタイムは重要ですけど、それ以前に車高が低くてカッコ良いってのは絶対に外せない部分だと考えています」とは、製作を担当したフルステージの中西さん。
まるでレーシングカーのような攻めのワイド&ロースタイル。静止状態からでもスピード感が強く感じられる、極低仕上げの好例と言えるだろう。
●取材協力:フルステージ 大阪府羽曳野市広瀬110-3 TEL:072-950-0777
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フルステージ
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