「歴代トヨタ車随一の武闘派モデル」オーナーと20年以上を共にするセリカGT-FOURを捕獲!

希少なWRC参戦ベースモデル!

ハイチューンに耐える3S-GT搭載

ターボエンジン+4WDのWRCベースモデルといえば、令和の現代ならGRヤリス、平成ならランエボとWRX STIというのが保守本流。しかし、これらマシンのルーツと言える存在がセリカGT-FOURだ。

初代モデルST165は映画『私をスキーに連れてって』の劇中車として有名。続く2代目のST185は、カストロールカラーのワークスマシンがライバルを寄せ付けぬ強さでWRC2連覇を達成。3代目のST205ではさらなる実績と人気が期待されたが、実際は……。

予想外の不振を招いた要因の一つが、ST205発売翌年の1995シーズン末に起きた「ターボスキャンダル」と呼ばれるWRCでの車両規定違反によるポイント剥奪と出場停止処分。だからといってST205を悲運のモデルと捉えるのはナンセンス。実際は前作までの弱点克服とポテンシャルアップが施された、シリーズ最終にして最強のモデルなのだ。

ここで紹介する1995年式中期モデルは、オーナーの高橋さんが20年前に後輩から譲り受けて以来、大切に乗り続けてきたもの。フロントサイドとボンネットスポイラーが追加され、国内2100台限定のWRC仕様車のスタイルとしている。

「基本的にはノーマルの良さに拘りながら、補修プラスアルファのファインチューンを行なっています」という内容は、3S-GTエンジンとタービン、水冷式インタークーラーはノーマルで、サード製メタルキャタライザーからHKS製リヤマフラーまでの排気系をフルに変更。拘りは多くの市販品が採用する60φに対し、太めの76φとしたマルシェが製作のワンオフ中間パイプ。

アペックスパワーFCによる燃調、点火時期の現車セッティングとブーストアップとの相乗効果で、ポテンシャルを引き出すのが狙いだ。ブーストはパワーFCでイニシャル値を高め、トラストプロフェックを併用してコントロールしている。

純正触媒の目詰まりによる、吹け上がり不良のトラブルを機に変更された排気系。キャタライザーはサード、マフラーはHKSサイレントハイパワー、中間パイプはマルシェが製作した76φという構成だ。

これを見て、「あ、タイミングベルト冷却ダクトだ!」とすぐに分かった人はセリカGT-FOURマニア。ST185では『RC』だけに装備されてたモノだけど(外装ではボンネットアウトレットダウトの横に小さな丸いエアインテークが追加されている)、ST205ではベースモデルを含めて採用されることになった。というかST205にはそもそもRCが存在せず、初期に2500台限定でWRC仕様がラインナップされていたのだ。

フロントはスーパーストラットもST205での大きな進化点で、高橋さんのマシンはワンオフ製作のテイン車高調+EDFCに変更。前後オールアルミ製キャリパーを採用する16インチブレーキは効きに不満はないようだ。

戦うためのコクピットの雰囲気を感じる操作系のデザイン。このマシンに装着されている真っ黒のダッシュボードはWRC仕様車のもの。5速MTはクロス仕様が設定されなかったのも、ST205が競技で苦戦した理由だ。

フロントシートはファブリック表皮のスポーツシートが標準で、オプションとして本革タイプも用意。高橋さんのマシンは純正が劣化してしまったので、補修を兼ねてレカロのリクライニングタイプに変更している。

「アルミボンネットを始めとした軽量化でST185より30kg軽いとはいえ車重は1430kg。しかし、スーパーストラットサスのお陰か数値以上にフロントの動きは軽快で、ロールする前に向きが変わるのはST205ならではの魅力です。今もメインカーとして乗ってますが、大きなトラブルもありません」とのことだ。

唯一の不安要素は純正パーツの供給状況らしいが、高橋さんは今後予定している外装レストアに向けて必要なものを集めている最中。「一生の相棒として長く維持していくつもりです」と、力強く語ってくれた。

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●取材協力:カーステーションマルシェ 群馬県前橋市亀里町1224 TEL:027-265-6789

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