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生産わずか1700台の希少性!
前期型260RSをベースに老舗がリメイク!
全長4.8mを超えるボディを持ち、当時“国産Lクラスワゴン”というジャンルを生み出したC34ステージア。直6エンジン+FRが基本で、スポーティグレード25t RS FOURのパワートレインにはRB25DET+フルタイム4WDが採用された。それをベースに誕生したのが、1997年登場のオーテックバージョン260RSだ。RB26DETTを載せたことから、俗に“GT-Rワゴン”とも呼ばれた。
そんな260RSのチューニングを手掛けたのが“ガレージ八幡”。まず目を引くのは外装だ。MASAモータースポーツのフェンダーを使ってフロントマスクをBNR34化。当然、ヘッドライトユニットは日産純正品を使い、バンパーはニスモZチューン、ボンネットはガレージ八幡オリジナルを組み合わせる。
これだけでもクルマ好きなら振り返ること間違いないけど、そこにトドメを刺すのがミレニアムジェイドでオールペンされたボディ。その独特な色のおかげで、前から見たら、もうBNR34ニュル以外の何物でもない。しかし、「なんでルーフレールが付いてるの!?」と思ったところで頭が一瞬バグり、やっとその正体に気付くわけだ。
もちろん、この260RSは見た目だけに留まらない。エンジンはフルオーバーホールした上でトラストT517Zをツインで組み合わせ、パワーFC制御とされている。
「ピークパワーだけを見たらHKS GT-SSとそう変わらんけど、パワー特性が大きく違う。エキゾーストハウジングのサイズが純正タービンと同じGT-SSは低中回転域のレスポンスが良いから、街乗りメインだったらお勧め。逆にT517Zは高回転域でパワーを伸ばすんで、高回転域を伸ばしたい人に向いとるね」と森田さんは言う。
ベース車に対してボディ各部の補強が施された260RSは、BCNR33譲りとなるブレンボ製フロント4ポット、リヤ2ポット対向キャリパーでブレーキを強化。足回りは純正スプリング&ダンパーが装着される。「新車の時に外して保管してあったものを装着してみた。今時ノーマルは珍しいでしょ?」と森田さん。
室内は、Aピラーにトラストブースト計と東名A/F計を装着。ステアリングコラム上にはブースト圧を制御するブリッツデュアルSBCがセットされる。センターコンソール中段のブースト計、油圧計、前後トルク配分計は標準装備。取材車両は前期型で、後期型ではステアリングホイールがモモ製4本スポークタイプに変更済み。
ちなみに、260RSは前期型が約1000台、後期型は約700台しか生産されなかった希少かつスペシャルなモデル。同じ時期にラインナップされ、第二世代GT-Rの中で最も少ないと言われるBCNR33の1万6000台強に比べても、わずか10分の1程度が販売されたに過ぎなかったりする。
時に1990年代は、初代レガシィツーリングワゴンが火を点けたワゴンブーム全盛期。そんな時代だったからこそ日産も、ステーションワゴンゆえの高い実用性とGT-Rの卓越した走りを贅沢にも兼ね備えた260RSを世に送り出すことができたのは間違いない。他では替えが利かない唯一無二の存在が260RS。未だに乗り続けているオーナーが多いことにも納得だ。
●取材協力:ガレージ八幡 愛知県半田市上浜町10-20 TEL:0569-26-1660
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