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FA20の再生と最適化
頼もしさとポテンシャルの双方を高める!
ある日突然訪れる、愛車のエンジン異音やブロー。そんな事態から素早く復活するには新品や中古エンジンへ換装するのがセオリーだが、新たな選択肢として兵庫県の“オートサービスカンキ”が提案するのは、再生と最適化を図ったリビルトエンジンだ。
「中古車相場が落ち着いてきたこともあって、ZN6/ZC6は前期モデルを中心にセカンドオーナーも増えてきました。ただ、コンディション低下でパフォーマンスが満足に発揮できないだけでなく、異音やブローといったトラブルが発生したエンジンも同時に増えています。そこで、最悪の事態からリーズナブルに復活するだけでなく、再びトラブルに見舞われることなく走りが楽しめるように、製作過程でFA20の弱点を克服した『リビルトエンジン・スポーツ』を用意しました」とは、オートサービスカンキ代表の永井さん。
真っ先に気になるのは価格と納期だが、オートサービスカンキの『リビルトエンジン・スポーツ』は、搭載エンジン下取りで55万円の即納・先送りとなっている。一方、メーカーの新品ベアエンジンは90万円台と高額な上にバックオーダーが当たり前。中古エンジンは20〜30万円前後で安価かつ即納なものの、コンディションを判断できない悩ましさがつきまとう。
そうした部分だけで判断しても、コスパや安心感で選ぶべきは間違いなく『リビルトエンジン・スポーツ』だ。設定モデルはアプライドに合わせて3つに分けられているのだが、トラブルから素早く復帰できるように全モデルで在庫を切らさない先送り体制を整えている。
さらに、オートサービスカンキまで自走入庫できるユーザーに向けて設定された、日帰り換装(要事前予約。リビルトエンジン・スポーツ55万円/油脂類、ショートパーツ、作業工賃11万円)も見逃せない。
なお、下取りエンジンは、ブロックにダメージが及んでいないメタルブローやロッカーアーム飛びは追加料金なしでOK。事故破損や水没などの大ダメージを受けていた場合でも、最大5万円の追加料金で済む設定となっている。
A&B型は、換装時にエンジンハーネスの同時交換がお勧め。見た目にダメージがなくとも硬化による断線トラブルが発生し、原因解明に悩まされるケースが急増中で、換装時なら部品代5万円ほどの追加で簡単にリフレッシュできるからだ。ちなみに、イグニッションコイルのカプラーが変更されたC型以降は材質が改善されたのかトラブル事例はない。
コスパや即納体制などを最初にクローズアップしたが、『リビルトエンジン・スポーツ』で最も注目すべきポイントは、FA20の弱点を克服する最適化だ。
そもそもリビルトエンジンは、分解洗浄した後に破損や摩耗した部品を交換するので換装前と比較してコンディションアップするのは当然なのだが、オートサービスカンキでは『リビルトエンジン・スポーツ』とネーミングしたように、定番のトラブルポイントとなるコンロッドメタルの強化や、新品エンジンでもバラツキや調整精度の甘いバルブクリアランスの最適化で、頼もしさとポテンシャルの双方を鍛え上げていく。
「FA20のアキレス腱といえるコンロッドメタルの強化で安心して走りが楽しめる頼もしさを引き出し、バルブクリアランス調整で本来のポテンシャルを発揮させています。とくに、バルブクリアランスは調整精度の甘さがロッカーアームのバタつきや異音を発生させているので,最適化すれば高圧ポンプの作動音が聞こえる程度となってノイジーなイメージが変わりますよ」とは、永井さんだ。
また、オプションメニューで受注後の製作となるが、シリンダーをボーリングしてオーバーサイズピストン投入や過給機チューン向けにFA20DIT(ターボ)用コンロッド流用での強化、バランス取り&重量合わせもオーダーすることも可能。ブローなどのトラブル復旧だけでなく、オーバーホールついでのチューニングにも対応している。
FA20のクランクシャフトはタフだが、メタルトラブルなどでキズが生じている場合は迷わず新品に交換する。価格が6万円ほどとリーズナブルなこともあって、微細なキズであってもコンディション最優先で作業を進めていく。
ロッカーアームのピボットはA型のみ左右バンクでオイル穴のサイズが異なっている。B型以降は流量を抑えて油圧を確保するためか左右バンクともに小径となっているため、A型に向けた『リビルトエンジン・スポーツ』は左右とも小径で仕上げている。
純正オイルバンはオイルが逃げるスペースも大きく、長いブレーキングでフロント側に偏ったり、左に偏る右コーナーで厳しい状況となる。メタルトラブルの一因になることや、リビルトエンジン換装後にバッフル追加を行なうユーザーも多いため、部品代のみ加算しての標準メニュー化を検討中だ。
メーカーは作業効率重視でレーザー測定しているためか、バルブクリアランスのバラツキや調整精度が甘い。ロッカーアームのバタ付きが異音発生やポテンシャル発揮を妨げるため、ロッカーアームのレバー比も計算しながらシックネスゲージを使って入念に測定とシム調整を繰り返していく。0.01mmの精度で追い込むために、シムはすべての厚みをストック。
コンロッド形状がストレートタイプへ変更されたり、排気量拡大とともに各部がアップデートされたFA24。ただ、バランス取りなどデモカーでいち早くエンジン探求へ取り組んだオートサービスカンキは、流量アップしたオイルポンプやオイル規定量減少などが原因でメタルトラブルが多発していると考えている。FA20パーツの加工流用で弱点を克服した『リビルトエンジン・スポーツ』を開発中とのことなので、楽しみに待とう。
⚫︎取材協力:オートサービスカンキ 兵庫県加古川市東神吉町神吉16520 TEL:079-431-1449
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