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既存のGT100Rキットを上回るビッグタービンキット登場間近!?
新作のビレットピストン&コンロッドを投入!
残念ながら新車購入は不可能な状況となってしまったS660だが、チューニングベースとしての魅力は輝きを増す一方と言っていい。今回は、そんなS660チューニングを牽引する“HKS”の強化エンジンパーツ(純正排気量仕様の強化ピストン&コンロッド)に迫っていこうと思う。
リリースされたのは2024年の1月だが、実は開発を開始したのは2017年頃。GT100Rを上回るタービンキットとのマッチングを想定したもので、当初は同時リリースを予定していたが、市場からのラブコールを受けて大風量タービンより先に発売されたという経緯がある。
キットは、HKS内でSTEP3と呼ばれる最高峰の削り出しピストンとI断面コンロッドの構成。ピストンは、高温強度に優れるジュラルミンA2618材から削り出した逸品だ。ブリッジ構造の採用で剛性を高めている他、2層モリブデンコートで初期なじみ性とフリクション低減を図っているのもポイント。
コンロッドはニッケルクロム鋼の削り出しで、独自設計のI断面形状により純正比74%アップの強度を獲得。表面には疲労強度を向上させるためのWPC加工も施されている。
ただし圧倒的な強度と引き換えに、妥協せざるを得なかったのがバランス率だ。これは、ピストンとコンロッドの往復と回転運動部の重量比で、3気筒エンジンでは50%とすることで理論上振動の発生を抑制できるパーツ設計での重要な要素のひとつだ。
S07A用キットでは軽量ピストンに対し、コンロッド重量が増加したためバランス率が50%とはならず、わずかに振動が発生するという。とはいえ、振動のレベルは純正よりも若干増という程度で、クランクプーリー&フライホイールへのウエイト追加による対策も可能な範囲なので安心してほしい。
「S07Aのパワーアップで問題なのはコンロッドの強度不足。その対策として開発したのがこのキットです。2024年内リリースを予定しているHKSの新型タービンはもちろん、他社製タービンによるハイパワーも余裕で受け止める強度が自慢です」とはHKSの高橋さん。
強化ピストン&コンロッドはすでにHKSのテスト車に投入して長期のテストも重ねた状況。120psを超えるパワーでも7年以上ノートラブル。また、200psに迫るJ&Kのツインチャージ仕様にもいち早く導入され、強度の高さは実証済みとなっている。となれば、あとは期待の新ターボキットを待つばかりだ。
●取材協力:エッチ・ケー・エス 静岡県富士宮市北山7181 TEL:0544-29-1235
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