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あえてのRB20ヘッドカバーで醸し出す純正ルックな雰囲気
RB26改2.8Lで扱いやすい600馬力を実現!
ほどよくローダウンされた前期型のZ31型フェアレディZ。街乗りから年に数度のサーキット走行まで楽しめるよう、オーナーが名門“カーショップポルシェ”と二人三脚で育成中の快速ストリートスペックだ。
元々はRB20DETのブーストアップ仕様だったが、時間をかけながら徐々にステップアップしていき、現在は2.8Lまで排気量を高めたRB26DETT(BNR32用)に、GTIII-RSタービンをツインで組み合わせる超ハイスペック仕様にまで進化させたのだ。
「一昔前のRB26チューンなら、ハイブーストでタービンをガンガン回す…といった仕様が定番でしたが、このオーナーさんは街乗りもするので、過給圧はほどほどにして、エンジンの圧縮を高めることで下からトルクが出る仕様にしています。全域フラットな特性なので扱いやすいですよ」とは、製作を担当したカーショップポルシェの藤本さん。
具体的には、NC加工したフルチューンヘッドにJUNの68度カムを組み込み、圧縮比を9.2に変更。ニスモの大容量サージタンクも投入し、推定出力はブースト圧1.5キロ時に600psオーバーの実力だ。
RB20用のスプロケットカバー&ヘッドカバーを移植しているため、初見ではRB26換装とはまず気付かれないはず。ちなみに、ヘッド周りはガスケット抜けを防止するウォータージャケットのエア抜き加工も施されている。また、クランク角センサーは純正を撤去。代わりに、HKSのコンバージョンキットを使ってクランク軸上に専用センサーを設け、より正確なピックアップ信号をECUへと伝達する。
大幅なパワー増強に伴ってクーリングチューンも徹底。インタークーラーは水平マウント化した上で、ラジエターはオリジナルのUターンコア仕様に変更。さらにトラストのオイルクーラーを2基掛けするなど、温度の安定化を図る。
Z乗りらしい発想で240Zなどを彷彿とさせる縦デュアルマフラー。横向きのデュアルサイレンサーのテールパイプにひねりを加えている。装飾のないエンドパイプも当時風だ。
室内は欠品パーツも無く美しい仕上がり。オーディオやナビ、エアコン(R134a仕様にアップデート済み)などの快適装備も問題なく機能する。ちなみに、駆動系はATSカーボンツインプレートクラッチ→ECR33純正5速ミッション→ATS機械式LSDという構成だ。
エンジン制御にはF-CON Vプロ3.4を採用。HKSクランク角センサーコンバージョンキットとの組み合わせで、高精度のマネージメントを構築している。
足回りは、ZEALファンクションをベースにしたオリジナル車高調(F8kg/mm R6kg/mm)でセットアップ。ブレーキ周りもエンドレスの6ポッドキャリパー&324mmローターで強化済みだ。
ホイールはボルクレーシング21C(10J-25)で、タイヤにはアドバンネオバAD08Rの295/35−18サイズをマッチングさせている。
エクステリアはアニバーサリー仕様でフル武装し、リヤにはブラックバードのカーボンスポイラーもセット。なお、この車両はZR-IIベースのため本来はTバールーフ仕様なのだが、雨漏り等のトラブルに嫌気が差し、ZR-Iのルーフを移植してストックルーフ化しているのもポイントだ。
国産スポーツカーの代名詞的存在として長い歴史を持ち、世代交代を続けるフェアレディZ。その一時代を担ったZ31は、最新のチューニング技術やパーツを投入することでまだまだ進化できるのだ。
●取材協力:カーショップポルシェ 山梨県南アルプス市東南湖252-2 TEL:055-284-0813
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