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独自のサイレンサー調律理論が炸裂!
4500rpm以降のサウンドは感動的
腕時計のパテック・フィリップ、革靴のジョン・ロブ、バッグのエルメス……特定カテゴリーの中でも別格の存在を表すために使われる〇〇のロールスロイスという表現。
ロードスター用のチューニング&カスタムパーツで同様の存在を挙げる時、多くのユーザーが真っ先に思い浮かべるのが“サクラム”のエキゾーストシステムではないだろうか。
憧れを込めて“サクラム管”の通称で呼ばれるサイレンサーキットは、スポーツマフラーに求められる様々な要素の中でも、排気サウンドを徹底的に追求したもの。12気筒時代のF1マシンがモナコのトンネルで奏でる、甲高いサウンドを理想とした官能的なラテンサウンドは、ロードスターに唯一無二の世界観をもたらしてくれる。
それを可能にしたのが、サクラムが長年に渡って蓄積してきた独自のスポーツマフラー調律技術。マフラーサウンドは金属パイプ内の反射による周波数で決まる。これは金管楽器が音を奏でるのと同じ理屈だが、エキゾーストマフラーには音程の調整機能がないため、サクラムではパイプの管長やレゾネーター形状などを細かくコントロールしながら、理想的な音程(周波数)を目指していくのだ。
ターゲットとなる周波数はエンジン気筒数によって異なり、4気筒エンジンのロードスターの場合は400Hzに設定。その根拠は、音源となるエンジンの排気バルブ作動が6000回転時に200回(=200Hz)だから。これを倍音となる400Hzに調律するのが、ラテンサウンド発生の基本的なメカニズムだ。
専用設計のテールはエクスポーネンシャルホーン形状のツインタイプ。これは音量の拡大が目的ではなく、分岐部分で発生する射流による不要な鳴きや高周波共鳴の対策として採用されたものだという。
「クルマが動いている間は壊れない」を目標に、高い耐久性を追求しているのもサクラムならでは。複雑なパイプレイアウトによる熱膨張差の対策として補強を追加。強度だけでなく見た目を損なわないよう形状にも拘っている。
こちらはレゾネーターのマウント部に採用されている振動吸収用のブッシュだが、一般的なゴムやウレタンではなくスチールウール状の耐熱タイプを採用。細かなパーツひとつに至るまで妥協は一切なしだ。
ND型ロードスターの開発では、マツダが純正マフラーで狙っている周波数がほぼ同様だったことが判明したため、中間パイプは純正を生かし、リヤピースのみで構成。規制値の範囲内で音量を引き上げることとした。
ND系は全年式のロードスターとロードスターRFに対応するラインナップを用意。もちろん第三者機関による音量、加速騒音審査をクリアした保安基準適合品だ。
宇野代表の勧めで実際にサクラム管を装着したND5RCに試乗させてもらったが、その感想としては「驚き」以外の表現が浮かばない。純正+αで控えめなサウンドが、4500rpmを境に一転。ピークの7000rpmまで、官能的で淀みのない高音が響き渡る!
これぞ匠のマフラー。決して安い買い物ではない。しかし、官能的な音に拘りたいユーザーなら思い切ってみる価値はあると言える。
歴代ロードスターに対応する豊富なラインナップ
NA6/8用:17万9025円~
NAロードスター用のマフラーは中間パイプを含むレイアウトで、従来の一体式から現在は2分割タイプに改良されている。純正触媒装着車用のほかに、スポーツ触媒装着車用もある。
NB8用:15万5925円
NBロードスター用はリヤピースのみとなり、純正のエキゾーストマニホールドと触媒の装着車用となる。社外エキマニや触媒装着車は個別の音量対策が必要となるので要相談だ。
NCEC用:21万2520円
NC用は左右独立のサイレンサーを持つ2本出しレイアウトが特徴。2010年3月までの純正触媒対応タイプと、2010年4月以降の加速騒音規制対応品(5MT/6MT)用を用意する。
●取材協力: サクラム 埼玉県深谷市永田1098 TEL:048-584-7117
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サクラム
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