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より扱いやすくパワフルに!
快適性と耐久性も確保したストリートマシン
このBNR34は「車検対応のストリートカーで、普段の街乗りはもちろん、サーキットまでも自走で、スポーツ走行を存分に楽しめる」というコンセプトで“アートテック花塚”が製作した一台。それにプラスして、最高速は300km/h、ゼロヨンも11秒台をクリアするという、羨ましいほどの欲張り仕様だ。
L型エンジンの時代から、とくにターボ系のハードチューンでならした花塚さん。当然、第二世代GT-Rも発売と同時に即購入。それから現在までの35年間、“サーキットで速く走れるように”や“ゼロヨンで9秒を目指す”といった具合に、各ステージに特化したクルマを数多く製作してきた。
多くの経験とノウハウを持つ花塚さんからすれば、走るステージをひとつに決め打ちすれば、ある意味、そのマシンメイキングはシンプル&イージーなはず。しかし、今回のコンセプトは俊足なオールラウンダー。各走行ステージのどこを走っても、それなりに速くて、快適性も犠牲にしてはいけない。
そんな制約の中、どの程度のパワーが適切で、どんなトルクカーブを描いていくか。その他にも、駆動系や足回り、そしてブレーキなどもバランス良くチューニングしていかないと、コンセプトが破綻してしまう。実は高度なチューニングセンスと手腕が求められる仕様なのだ。
エンジンはHKSの2.8Lキャパシティアップグレードキット・ステップ1で排気量アップを実施。そこにVカムベースの加工品(IN270度 9.7mm EX264度 9.1mm)をセットし、低回転からトルクフルな特性に仕上げる。タービンは比較的コンパクトなGT2530Kaiをツインで装着し、最高出力は550psをマーク。制御はアペックスのパワーFCが担う。
HKS製のフロントパイプから繋がるメインマフラーは、アペックス製の車検対応品がセレクトされた。綾織りカーボンのアンダーディフューザーは、Vspec.IIに装備されている純正品だ。これにより、高速域の安定性が大きく高まる。
フロントバンパー開口部ギリギリに収まるインタークーラーはトラストの3層式。フロントセクションは全て純正のエクステリアパーツだが、これだけでチューニング指数が爆上がりするから不思議だ。もちろん、安定したブースト圧の維持にも必要なパーツであることは言うまでもない。
トランクルームには燃料の空打ちを防止するために、コレクタータンクを設置。
サスペンションはHKSのハイパーマックス(F14kg/mm R10kg/mm)で、ブレーキは前後ともにエンドレスの製品(Fモノ6&370mmローター Rモノ4&343mmローター)で強化済みだ。ホイールは9.5JのニスモLM GT4で、タイヤにはRE-71RS(FR265/35R18)を組み合わせる。
あくまでストリートスペックとのことだが、そのパフォーマンスは計り知れず、オーナードライブ&ローブースト設定で筑波サーキット1分3秒台をマークするほど。どこを走らせても不満の出ない、驚異のオールラウンダーというわけだ。
●取材協力:アートテック花塚 栃木県那須塩原市上厚崎324-8 TEL:0287-62-3218
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アートテック花塚
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