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VABチューニングはこれからが面白い!
サーキットアタック仕様からストリート仕様へと大幅な方向転換!
“A PITオートバックス東雲“と“スーパーオートバックス浜松”が、チューニングパーツメーカー“HKS”とレーシングドライバー木下みつひろ選手とタッグを結成して推し進めているパーツ開発プロジェクト「HKS GATE SPEC」。その新作アイテムとして打ち出されたのが、WRX STI(VAB)用の車高調キットだ。
A PITオートバックス東雲のデモカーVABは、「完全合法仕様で筑波1分フラット」というコンセプトに則ってマシンメイクが行われていた。しかし、1分00秒08というベストタイムをマークした後、コンセプトを「末長く楽しめるWRX STI」というものに変更。街乗りメインというコンフォート方向に振ったリメイクが施された。
新たに開発されたHKS GATE SPEC車高調(30万5800円)も、このコンセプトに沿って開発されたアイテム。サーキットアタック仕様ではクスコの調整式アーム類にジール車高調というハードな構成だったが、現在は純正アームにHKS GATE SPEC車高調というユーザーライクな構成へと改められた。
「HKSから販売されているハイパーマックスSがベースですが、中身は別物。標準でもコンフォート寄りのセッティングが施されているこの車高調を、さらにソフトな方向で仕上げました。もちろん無闇に柔らかくしたわけではありません。開発テストの移動で、東京-京都のような長距離も自走で走りましたが全く疲れない。欧州スポーツカーのような、引き締まりつつも角の無い足に仕上がってますよ」とは開発を監修した木下みつひろ選手。
HKS GATE SPEC車高調に加えて新規で投入されたのが、オリジナルのフロントワイドフェンダー(未塗装:10万7800円)。車検証の記載変更不要の片側9mmワイドという絶妙なサイズ設定ながら、フロントタイヤ後方に“えぐり”を入れることでスポーティなシルエットを構築している。メインの素材はFRPで、ダクト部分とサイドステップ側に取り付けるフィン部分のみカーボンというハイブリッド仕様だ。
ホイールはTWS T66FのA PITオートバックス東雲オリジナルサイズ(9.5Jプラス50×18インチ)、タイヤはブリヂストンのポテンザRE-71RS(265/35−18)を合わせる。ブレーキはフロントにエンドレスの6ポットキャリパー&2ピースローターを投入。
エンジンは本体ノーマル+HKS製GTIIIタービンという構成をECU-TEKの現車セッティングで制御する400馬力仕様。このパワーチューンの内容は、サーキット仕様時と同様だ。しかし、A PITオートバックス東雲スタッフによる内製でのエンジンフルオーバーホールが施された。これに関しても、「末長く楽しめるWRX STI」という現在のマシンコンセプトに沿ったアプローチと言えるだろう。
触媒がタービン直後にあるため排圧が高まりやすいVAB。純正触媒のままブーストを上げていったことが原因でのタービンブローはよくある話だが、A PITオートバックス東雲ではHKSのメタルキャタライザーとスーパーターボTiマフラーをセットで投入し、車検対応かつ優れた排気効率を叶えている。
車検対応というコンセプトはそのままに、限りなくコンフォートな仕様へとシフトしたデモカーVAB。袖ヶ浦フォレストレースウェイでの取材当日に改めてマシンをドライブした木下みつひろ選手が、サーキットでのマシンの印象を語ってくれた。
「この車高調の一番のキモは穏やかなストロークスピード。これはダンパー内部のバルブを変えてオイルの流れ方を調整したことに起因しているのですが、ロールするスピードを抑え込むことでしっかりと踏ん張る足になっているんです。柔らかめの車高調なのに、サーキットの楽しさは十分。純正からの置き換えに最適でしょ?」
新車販売終了となった現在でも根強いファンを持つVAB。A PITオートバックス東雲の取り扱い車種の中でも、最もユーザー数が多いマシンというだけに力の注ぎ方は本物だ。これからも末長くVABを楽しみたいと考えるオーナーの、お手本となる仕様が完成したといえよう。
なおこのマシンは12月14日・15日にA PITオートバックス東雲にて開催される「シックススターミーティング」に展示されるほか、翌週21日・22日にはこの車高調の体感試乗会も開催予定とのこと。オーナー諸氏はお見逃しなく!
PHOTO:山本大介
●取材協力:A PIT AUTOBACS SHINONOME 東京都江東区東雲2-7-20 TEL:03-3528-0357
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