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「セブンと言えば、FC3Sなんですよ」オーナー談
FC3Sは現役のチューニングベースだ!
SA22CではなくFD3Sでもなく、FC3S。2001年に後期型GT-Rを購入した松本さんは、その理由をこう話す。「マツダがアメリカでレースに参戦していたIMSA-GTO仕様のFC3Sが大好きで。あとは社会人になった時、欲しかったんですけど、新車は高くて、とても初任給では買えなかったという思いもありましたね」。
購入時7万kmだった走行距離は現在25万4000km。街乗りだけでなく、マツダファンサーキットトライアルにも参加する松本さんは過去に十勝や菅生を走り、今でも岡山国際サーキットとツインリンクもてぎには毎年足を運ぶ。となると、サーキット走行を見据えてチューニングしているのも当然だ。
エンジンは軽くポート修正した13B-T改ハイフロータービン仕様。最大ブースト圧0.9キロで340psを発揮する。ブースト圧はブリッツSBC i-D、エンジン本体は純正ECU書き替えで制御する。オイルレギュレーターや燃料ポンプはFD3S純正を流用。また、フロントキャリパー交換に伴い、ブレーキマスターもセンティア用で容量アップを実現している。
「これまでタービンブローが2回。エンジンは4回オーバーホールしてます。なので、始めから残ってるのはエキセントリックシャフトとフロントハウジングくらいですね」と松本さん。
さらに、サーキットの連続周回に備えて冷却系チューンも抜かりなし。ラジエターはRG製銅3層に交換。カップリングファンに代えて汎用16インチ電動ファンを組み合わせ、HKTスーパーファンコントローラーで駆動する。また、FD3S純正ツインオイルクーラーをフロントバンパー左右開口部にセット。油温安定化の他、FC3S純正前置きオイルクーラーを省けるため、ラジエターの冷却効率も向上させる。
ステアリングホイールはMOMOキャバリーノレーシング、シフトノブはマツダスピード製に交換。メーターナセルにはデフィ水温/油温/油圧計が並ぶ。メインメーターは北米仕様260km/hフルスケールスピードメーターの他、燃料計を移設してデフィブースト計と油圧計を埋め込み。タコメーターのレッドゾーン表示は松本さんがDIYで行なった。
駆動系はエンジンチューンに合わせて、まずクラッチをORC製メタルシングルプレートに交換。ミッションは1〜3速ギヤにトリプルコーンシンクロのSE3P純正5速MT用を組み、4〜5速にダブルコーンシンクロのFD3S純正を流用することで耐久性と操作感を改善。これは13B系に搭載されたマツダ内製5速MTのギヤ比が、FC3SからSE3Pまで共通だからこそ可能な純正流用チューンだ。ファイナル比はストレートでの伸びを重視して、ノーマル4.1のままとされている。
ミッションは過去に一度、サーキットでブローを経験。コーナリング中、ミッションケースが捩れた状態での無理なシフト操作が原因と思われたため、エンジンと併せてリジッドマウント化されることになった。
運転席はサーキット走行時のホールド性を最優先してブリッドXERO CSを装着。また、クスコ製ピラーサイド補強バーやドゥーラックリヤクロスバー&フロアサポートバー、カワイ製作所リヤピラーバーなどでボディ剛性も確保する。
後席に代えてFC3Sアンフィニ純正ストレージボックスを装着。松本さんいわく、「かさばりがちなヘルメットを入れておくのにちょうどいいんです」。これにより記載事項変更を行ない、車検証上の乗車定員は2名となる。
マフラーは柿本レーシング製でディフューザーに合わせてワンオフ製作。足下を飾るのは17インチのレイズグループC(F8.0J+34 R9.0J+34)にアドバンネオバ(同235/40、255/40)だ。これはサーキット走行用で、街乗りでは普段マツダスピードMS-02を履く。
また、足回りにはRG製車高調をセット。ブレーキは、フロントがエンドレス製6ポットキャリパー(チビ6)と2ピースローター、リヤは純正キャリパーとFD3S用17インチローターで制動性能を高めている。
今回はオーナーのご厚意によってFC3Sのハンドルを握ることができたのだが、4000rpmから気持ち良く伸びていくエンジンはパワー感も十分。また、ステアリング操作に対してレスポンス良く向きを変える足回りのセットアップなど、走りが楽しく全体のバランスにも優れるのが印象的だった。