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独自のマフラー調律技術の粋を結集!
官能的な高周波ラテンサウンドを実現!?
時代に合わせて多様化しているチューニングパーツの中で、昔も今も欠かせないパーツがスポーツマフラー。そこに求められる要素は、排気効率や軽さ、ドレスアップ効果など様々だが、ドライビングの楽しさを演出する“サウンド”を徹底的に追求していることで知られるのが“サクラム”だ。
そんなサクラムの最新モデルが、今回紹介するFL5型シビックタイプR用のサイレンサーキット(39万6000円)だ。K20Cターボエンジン搭載のシビックタイプR用として3作目となるマフラーは「サウンドとスタイルをバランスさせた頂上を極めた」と宇野代表が語る自信作。その特徴を伝えるには、過去2モデルの開発経緯まで遡る必要がある。
最初に手掛けたFK2(マフラーは販売終了)はフィット系のシャシーをベースにしているため、燃料タンクを避けて取り回される長い管長で狙ったサウンドに仕上げるのに苦労した。対して、次のモデルのFK8はシビック専用の新型シャシーとなり排気系のレイアウトが一新。マフラー開発もほぼイチからとなり、完成までに1年半、8作もの試作を経ることになった。
こうして実現させたのが、サクラムが理想としている12気筒時代のF1マシンが奏でる官能的なエキゾーストサウンド。助手席で体験させてもらったが、タコメーターが4000rpmを越えたところからラテン系の高周波サウンドが発生し、5000rpmを超えると徐々に減衰する味付け。市街地や高速巡航で多用する4000rpm以下は純正に近い音量として、高い快適性を維持しているのも特徴だ。
マフラーサウンドは金属パイプ内の反射による周波数で決まる。これは金管楽器が音を奏でるのと同じ理屈だが、クルマのマフラーには音程の調整機能がないため、目指す音程(周波数)を管長で調整することになる。
FL5用のマフラーの場合は、4つのパイプと3つのサイレンサーで構成。これら7つの要素を細かく調整しながら狙ったサウンドを作り上げていく。4気筒のK20Cエンジンでは周波数のターゲットを400Hzに設定。これは、音源となる排気バルブ作動が200回(=200Hz)となる6000回転時のサウンドを、倍音となる400Hzになるように調律しているわけだ。
装着時のリヤビューにも拘り、クルマのキャラクターに合わせたテールデザインを採用。FL5ではエクスポーネンシャルホーンと呼ばれる100φのステン削り出しテールにカールカバーを加えたデュアルタイプとした。
理想とするサウンド作りのためにパイプ長や取り回し、分岐方法などを何度も検証するのがサクラム流のマフラー作り。金管楽器に匹敵する美しい仕上がりは、ファンからサクラム管と称されているものだ。
「クルマが動いている間は壊れない」を目標に、高い耐久性を追求しているのもサクラムならでは。走行時の熱膨張差の対策として追加されている補強ステーは、強度だけでなく見た目を損なわないよう形状にも拘っている。
FL5用のパイプレイアウトは、メインパイプ65φ→テールパイプ50.8φ×2という構成で、触媒以降を交換する3ピースタイプのフルエキゾーストだ。触媒接続部の口径は、FK8用では54φだったが、FL5は60φとなった。
各パイプを接続するフランジは、信頼性の高いホンダ純正の樹脂製リングガスケットが装着できる設計としているのも見逃せないポイントだ。
交換用マフラー事前認証制度適合を示すJQRプレートも装着も装着されているので、もちろん車検も安心。サイレンサー部には「SACLAM」のロゴプレートもさりげなくプラスされている。
サクラムのFL5用は固定音響構造式のサイレンサーを採用。純正装着の排気流切り替えバルブ用モーターの処置として、スペアタイヤハウス内の駆動モーターに装着する専用のキャンセラーも付属している。
これぞ究極にして至高のエキゾーストシステム。決して安い買い物ではない。しかし、官能的なサウンドに拘りたいユーザーなら思い切ってみる価値はあるはずだ。
●取材協力: サクラム 埼玉県深谷市永田1098 TEL:048-584-7117
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