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グリップ&ドリフト大会の頂点を目指す
RSワタナベの象徴ともいうべきAE86を最新スペックに仕上げる!
徹底的にチューニングされたAE86は数多くあれど、グリップとドリフトの両方を極めたマシンはそうそうないはず。そんな前人未到の領域に挑むべく製作されたのが、名門ホイールメーカー“RSワタナベ”の専務、渡辺万三志さんの愛機だ。
RSワタナベといえば、エイトスポークを思い浮かべる人も多いことだろう。長きに渡って愛されてきた往年の名ホイールだ。その人気を不動にしたのが『頭文字D』への登場。藤原拓海のトレノが履いていたことで、世界中のカスタムフリークに憧がれられる存在となった。
渡辺さんがワークスチームを立ち上げてレース活動を行っていく上で、AE86を選んだのは言わば必然。揺るぎないイメージがあったし、渡辺さんの周りには強力なサポートをしてくれるAE86マイスターの仲間がいた。このマシンを製作した元D1ドライバーのH-CRАFT林さんや、最速のAE86使いとして有名なクリスタルボディ横浜(CBY)の小田さんだ。
2023年2月に製作をスタートしたばかりでまだ発展途上の段階とのことだが、AE86ドリフトチャンピオンカップで見事に優勝(ドライバーは林さん)。富士N2決戦では渡辺さん自らステアリングを握り予選2位を獲得するなど、早くも並々ならぬ実力の片鱗を見せつけている。
その作り込みはまさに徹底的だ。白く塗装されているためパッと見は分かりにくいが、実は外装はフルドライカーボン化されており、車重は800kg代前半まで絞り込まれる。
エンジンはCBYの82φピストンやコンロッド、83mmクランクを組み込んだ通称5A-G仕様。296度カムやチタンエキマニも装着しており、最高出力は196㎰(ダイナパック)を発揮。今後は5.5A-Gや7A-G仕様へのアップデートを予定している。
オリジナルインマニを介してハヤブサ用スロットルを合体。スロットル径は46φで、5バルブ4A-G用より約1kg軽いのもメリット。ポート形状もよく、まるでバイクのようなレスポンスを発揮する。
ドリフトとグリップの両方に対応すべく、アルミラジエーターやオイルクーラーを導入。こちらも、ゆくゆくはVマウント化される予定だ。
元はフルノーマルだった個体を、2023年の2月からという短期間でドンガラ仕様に仕上げた。ボディはスポット増しやロールケージでフル補強。ロゴ入りのシートはブリッドとのコラボ仕様だ。
さらに、特筆すべきはAE86で日本初となるパドルシフト化を果たしていること。ミッションはサデフのシーケンシャルドグを採用。LINKフルコンで制御することで、アクセル全開のままシフトアップを可能に。シフトダウン時に回転を同調させるオートブリッピングにも対応する。
クラッチを踏まずにアクセル全開のままシフトアップできるため「自分で変速するより0.1秒は早いと思いますよ」と渡辺さん。
そして忘れてはならないのが、足元に収められたフォージングRだ。エイトスポークの伝統を受け継ぎつつ、圧倒的な剛性と軽さを両立した究極モデルがその走りを支える。サイズはF9.5Jマイナス19、R10Jマイナス25で、タイヤはアドバンA050の225/50R15を組み合せる。フロントブレーキはエンドレスMONO4を選択。
AE86を愛する渡辺さんと仲間たちが情熱を注ぎ込むRSワタナベのトレノは、AE86のカスタムシーンに新たな伝説を切り開いていくに違いない。
●取材協力:レーシングサービスワタナベ TEL:0120-813-562
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