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不調を抱えたチューンド旧車も復活!
最新フルコンが引き出す旧車の新境地
軽量ボディに1.5L・SOHCターボを搭載し、1985年に誕生したジェミニ・イルムシャー。1988年にはNAツインカムの1.6イルムシャーも追加されたが、今回の主役はエンジンチューニングが施されたターボモデルだ。
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「調子が悪いからフルコンをリセッティングしてほしいと依頼されたのですが、入庫した車両はセンサー類が純正なのか後付けなのか分からない状態で、フルコンも通信すらできない不動車でした。センサーやフルコンの入れ替えで何とかなると思いましたが…」と語るのは、“インパクト”の園田さん。
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続けて「そもそもジェミニの心臓部である4XC1は、デスビに内蔵されたクランク角センサーを使った同時噴射。ライトチューンならともかく、大容量インジェクターを使うハイチューンドだと、同時噴射で快適なエンジンフィール発揮は不可能です。そこでオーナーと話し合い、正しい測定・正しい制御環境を構築していく方向性で仕様変更とリセッティングに取り組みました」と語る。
言葉だけを聞けば簡単な作業のようにも思えるが、実際は苦労の連続だった。作業を進めていく中で、旧車ならではのトラブルが続出したのである。
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新たなエンジンマネージメントには、ハルテックのエリート1500を採用。オーナーが将来的に電子制御スロットル化を考えていたことが主な選択理由だ。
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配線図が役に立たないほど入り組んでいたハーネスは、フルコン投入に合わせて新規製作。劣化による導通不良などがトラブルの元になりやすい旧車において、整然と仕上げられた新規ハーネスは最良のリフレッシュ術だ。
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エンジン自体は200psオーバーも狙える仕様となっていたが、RHF5タービンの風量を考慮してブースト圧は1.3キロでセットアップ。ブーストのコントロールは元々のEVC1では頼りなさすぎるため、ハルテックで集中制御するシステムに切り替えた。
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スペースの厳しいプーリー周りだが、ピックアッププレートを加えてシーケンシャル噴射に必要なクランク角センサーをセット。ブーストコントロールソレノイドや圧力センサー、吸気温度センサーにノックセンサーと純正で備わっていないものも加えて、正しい測定・正しい制御を実現するためにセンサー類を一新した。
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SOHCのエンジンに直付けではコイルの容量アップが果たせない。そこで、イグナイター内蔵の大容量コイルをフェンダー部分にマウントし、プラグコード接続のダイレクトイグニッションとしている。
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長年の不動状態で朽ち果てていたマフラーは、エンジンの仕様に合わせてカスタムメイド。これに伴い、メインパイプ径も60φから70φへと拡大されている。
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製造廃止でフルード漏れの補修が不可能だったパワステは、インパクト園田代表が絶大な信頼を寄せている“タクティカルアート”の力を借りて電動化。フィーリングまで含めて、旧車のネガを払拭しているのだ。
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「パワーチェック時に破裂したドライブシャフトを最新のグリスを使って修理したり、フルード漏れ補修が生廃で不可能なパワステを電動化したり、今時のノウハウを使ったリフレッシュも数多く施しました。ハルテックも様々なセンサーを追加して制御レベルを高めているので、ハード・ソフトともに不安要素がないチューンドに仕上がりました」。
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優れたマネージメント性能だけでも投入効果の大きいフルコン制御だが、旧車ユーザーなら高精度センサーによるセーフティ能力引き上げやハーネス類の新規製作によるトラブル防止といった効果も見逃せない。街乗りの快適性はもちろん安心して全開走行が楽しめる、最新フルコン制御が叶えるチューンド旧車の魅力だ。
●取材協力:インパクト 京都府久世郡久御山町野村村東91-3 TEL:075-754-7405