「ワイスピ俳優の魂が込められたS30Z」オートサロンで話題をさらった『ヴェイルサイド78Z』はかくして誕生した!

日本の文化にリスペクトを込めて!

七転び八起きをコンセプトにマシンメイクを敢行

映画“ワイルド・スピード”シリーズの次回作に登場予定のRZ34ボディキット「FFZ400」を製作し、東京オートサロン2023で発表した“ヴェイルサイド”。その開発にはワイルド・スピードでハン役を演じる俳優サン・カン氏も直接関わり、ヴェイルサイド代表の横幕さんと交流を深めた。

The action continues in the latest installment of the adrenaline-inducing series built on speed, THE FAST AND THE FURIOUS: TOKYO DRIFT.

2人の接点が最初に生まれたのは、『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』でハンがヴェイルサイドのRX-7フォーチュンに乗り、サン・カン氏がスターダムを駆け上がったことがきっかけだった。

「FFZ400」のプロジェクト完成後も中国のイベントで顔を合わせ、たまたま同じホテルに宿泊していたことから朝食をともに取ったそうだ。その時に、生粋の旧車好きでもあるサン・カン氏が「次はこんなことをしてみたい」と話した内容を横幕さんがメモ。それをわずか2ヵ月の製作期間で具現化してしまったのが、東京オートサロン2025でお披露目されたこのS30フェアレディZだ。

幼い頃からクルマ好きで、少年時代は近所で愛車のレストアを行なっていたプライベーターのガレージに入り浸っていたというサン・カン氏。アジア系アメリカ人として日本文化を強くリスペクトしており、何を隠そう、今回製作した「ヴェイルサイド78Z」の車名は、彼の座右の銘である「七転び八起き」に由来する。俳優のキャリアを通して、成功と失敗を重ねてきた自身の人生観と、壊れたり直したりを繰り返すことの苦労と面白さが味わえるクルマ遊びを重ね合わせているわけだ。

ベースとなったS30Zは、サン・カンさんの中でとくに思い入れの強い一台。その理由については「Zが発売された1969年当時、アメリカでスポーツカーと言えば、マスタングやカマロなど、大柄なV8マッスルがその主役でした。そこに片山豊さんがZを持ち込み、市場を席巻した。それまで510やサニーなど、ファミリーカーを主力としていた日本のメーカーがスポーツカーを成功させるには大変な苦労があったと思います。まさに日産がチーム一丸となって勝ち得た成果。片山さんが成し遂げた功績は、私を含めてアメリカに住むアジア系の人たちにとっても、大いに勇気づけられるものです」と語ってくれた。

そんなS30Zも生産終了から長い年月が経過。現在では貴重なクルマとなった。以前のようにフェンダーカットなど車体にメスを入れるの避けたいとサン・カンさんは考えており「ナローのスタイルのまま、モノコックの加工はせず、それでいて現代のカスタムシーンを牽引できるようなレストモッドカーに仕上げたい」という要望を横幕さんに伝えたという。それを横幕さんがカタチにしたのがこの78Zなのだ。

ちなみに、78Zのマシンメイクは横幕さんのみならず、サン・カン氏も自らツナギを着て時間が許すかぎり手伝っていた。ハリウッドスターが手を汚しながらヴェイルサイドのガレージで作業する姿には、素直に驚かされた。なるほど、生粋のカーガイと言うわけだ。

マシンの細部を見ていく。カーボンボンネットの表面には「VeilSide78」のロゴがクリアプリントされており、見る角度によってオレンジ色に見えたり、ロゴ自体が見えなくなったりする仕掛けを盛り込む。センターに配されたエンブレムは伝統工芸の七宝焼きだ。

エンジンはL28改3.2LのシリンダーにJMC×PAMSのver.JPヘッドを組み合わせたフルチューン。ライジング製のスロットルなどが組み合わされたエンジンは見た目も芸術品の領域。しかし、これは第一形態で、将来的には開発中のツインカムヘッドLZ6にアップデートすることを想定している。制御はF-CON Vプロを使用する。ミッションはエスコートのキットを使いS15用ニスモ6速をセット。

大幅なボディ加工はせず、純正フェンダーのまま煮詰められたエクステリア。ボンネットやバンパー、リヤゲートなどはカーボンとされ、純正形状のスポイラーには縦のフィンを追加しドラッグウイング的な印象を作り上げる。サン・カン氏の希望でグリルやテールランプなどは国内仕様に交換された。

ダッシュボードやセンターコンソールなどの内装部品は、一度ドバイにあるプロショップ“カーボンシグナル”に発送し、イタリアンレザーを使った張り替え作業を行なってもらった後、ヴェイルサイドに送り直してもらうという工程を経た。メーターパネルには78の車名と日本的ということで鯉の絵柄が描かれている。

サスペンションにはスターロードの車高調、ナギサオートのフロントレーシングアーム、リヤ調整式ピロアームなどを駆使することで、理想的なローダウンを実現。さらにエスコートのビレットリヤメンバーとR200デフも採用。クラッチは、OS技研のトリプルプレートを使用する。ハイスペックであると同時に、最新のパーツや技術を旧車に盛り込むことで誰でも快適に乗れるようなドライビングフィールを実現させているのがポイントだ。

ブリヂストンのポテンザRE-71RSが装着された15インチホイールはRSワタナベ製。フロントがGOTTI MG、リヤがエイトスポークと履き分けられている。

メキシコでの仕事があったため、残念ながら東京オートサロン2025の前日には日本を出国してしまったサン・カン氏。しかし、「自分が好きなのはその過程と、製作の現場。そして仲間と作業に没頭できるガレージにいるのが至福の時なんです」と、情熱的な言葉とともに現場にいたスタッフ全員に労いの言葉をかけていた。

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●取材協力:ヴェイルサイド 茨城県つくば市真瀬1250-3 TEL:029-838-1104

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【関連サイト】
ヴェイルサイド
http://www.veilsidejpn.com/

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