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750馬力のメカニカルすぎるパワーユニットに大興奮!
贅肉を削ぎ落とした軽量ボディも注目だ
かつて、フェラーリ458のV8エンジンをトヨタ86にスワップして話題をさらったドリフトドライバー“Ryan Tuerck(ライアン・ターク)”が、ニューマシンをSEMA2021で発表した。このGRスープラ、衝撃度は完全に前作以上だ。
競技ドリフトの世界においてエンジンスワップはもはや常識だ。日本では2JZ、アメリカではそれに加えてLS系のV8が定番だが、ライアンが選んだのはV10。しかも、イギリスの名門レーシングエンジンコンストラクター“ジャッド”が開発した「GV4L V10」だというのだから恐れ入る。
このエンジンは72度のバンク角を持つV型10気筒で、NAながら最高出力750ps、有効回転数1万1000rpmというF1直系のモンスターユニット。2JZに比べて100kg近く軽い重量(2JZ-GTE:約230kg/GV4L V10:145kg)も大きな武器だ。
エクステリアは、ラトビアにあるHGKモータースポーツのカーボンケブラー製キットでフル武装。ドアパネルなども置き換えることで大幅な軽量化を達成している。
エンジンルームを見るとキャビンの前後部分はカットされ、セミパイプフレーム化されていることが分かる。外装パーツは簡素なステーを介して取り付けられるなど、軽さへの執念は凄まじいレベルだ。
コクピットは贅肉を削ぎ落としたレーシングカーらしいメイキングだ。ミッションはホリンジャーの6速シーケンシャル。ダッシュボードやセンターコンソール、バケットシートは全てドライカーボンのスペシャルとなっている。
室内を覆い尽くすロールケージは、冷間引抜鋼材をベンダーで曲げて製作した完全オリジナル。強度面や重量などに拘りつつ、見た目のスタイリッシュさも追求している。
ホイールはrotiformのセンターロックモデル「NGO」を装着。サスペンションはBCレーシングで、ブレーキは前後ともにレーシングブレンボ。もちろん油圧サイドブレーキ機構も備えている。
SEMA2021直前にエンジン始動&各部の動作確認まで終えたそうだが、現状を見るかぎり完成はしばらく先になるだろう。それでも期待せずにはいられない。甲高いV10レーシングサウンドを響かせながら、サーキットでドリフトするドリームGRスープラの姿を。
●取材イベント:SEMA SHOW 2021