「愛車と共に歩んで四半世紀」サーキットマシンとして進化を続けるBCNR33とオーナーの物語

26年の時を経ても色褪せない魅力!

サーキットでの実績を見てオーテックツカダの門を叩く!

走りの面ではBNR32から劇的な進化を遂げたものの、大柄になったボディや100mm以上延長されたホイールベースがネガティブな要素として取り上げられたBCNR33。それに追い打ちをかけるように、バブル景気が弾けて久しい1995年デビューという時代的背景もあって、第二世代GT-Rの中では販売面でも苦戦した。

そんなBCNR33 Vスペックを1999年、25歳の時に3年落ちの中古車で手に入れたのがオーナーの田村さんだ。「BNR32も34も、正直ピンときませんでした。なので、自分が乗るクルマじゃないな、と。でも、BCNR33は違いましたね。雑誌で谷田部のバンクを走る姿を見て、“かっこいい!!”って思ったんですよ。ボディカラーは白に拘って探しました」。

納車されるとすぐにチューニングを開始。車高調を入れブーストアップを施し、レース活動をしていた先輩の影響を受け、3ヵ月後には筑波でのサーキットデビューを果たした。

ところが、そこでいきなりエンジンブローの洗礼を受ける。ただ、幸いだったのは今とは状況が異なり、エンジンパーツの入手には困らなかったこと。そこでN1仕様のリビルドエンジンをベースに、当時流行っていたポン付けタービンにカム交換仕様で復活した。

サーキット通いを続けるうち、その面白さや奥深さにハマり、「もっと速く走りたい。筑波で1分を切りたい」と考えるようになった田村さんは本格的なチューニングを決意する。そこで、GT-Rチューンを得意とする数あるショップの中から選んだのがオーテックツカダだった。今から12~13年前のことだ。「デモカーで本気のサーキットアタックを行ない、タイムという形でしっかり実績を残しているショップなので」と、田村さんがその理由を話してくれた。

それまで2.6Lのままだったエンジンは2.7L化が図られ、タービンもGT-SSツインに変更。戦闘力を高めたBCNR33でサーキットアタックを続けていたが、実は子供の高校受験などでお金が掛かる時期には数年間、車検を切ってサーキット通いもやめていたという。

田村さんが続ける。「以前、日常的なメンテはテクニカルガレージワンズにお願いしてました。代表の高橋さんにはクルマの面倒を見てもらうだけでなく、運転のアドバイスを頂いたりして、自分にとっては“サーキットの師匠”という存在でした。そんな高橋さんが2019年に病気で亡くなられて。それからですね、再びサーキットを走り込むようになったのは。ツカダの隆光社長にも相談して、“だったら走ろうよ”と背中を押してもらいました。自分がサーキットを走るのは、その楽しさを教えてくれた師匠・高橋さんへの恩返しでもあるんですよ」。

こうしてまた始まったサーキット通い。ホームコースの本庄サーキットには週1~2回ペースで足を運ぶようになった。今では年5戦のライトチャレンジアタックとウィンター/スプリングチャレンジに参戦。その合間を縫って、筑波、富士、菅生にも走りに行く。しかも、冬場のタイムアタックシーズンだけでなく1年を通してとのことだから、筋金入りと言うしかない。
その後、さらなるパフォーマンスアップを狙ってエンジンの仕様を見直し。HKS製キットでの2.8L化を始め、GT2530タービンやオーテックツカダ製カムの導入などが2年前に行なわれた。ブースト圧1.4キロ時に600psを絞り出す。

「IN側バルブガイドのショート化や、全開時の吸気抵抗を減らすスロットルバルブステーの削り込みなど、そういう加工はひと通りやってあるよ」と塚田顧問。

エンジン制御はF-CON Vプロ バージョン3.4が担当。オーテックツカダがVPC時代から技術とノウハウを蓄積してきたエアフロレス(Dジェトロ)化が図られる。手前に装着された黒いボックスは空燃比計。

強いGを受けても安定した燃料供給を実現するため、トランクルームには燃料コレクタータンクを設置。ポンプは2基のボッシュ製280L/hが使われる。メインインジェクターは東名パワード製1000ccに交換。

マフラーはオーテックツカダの美響チタン。排気効率とサウンドに拘り、メインパイプ径90φ、テールエンド径130φを採用する。撮影のために外してあるが、ストリートでは付属のインナーサイレンサーを装着。

右リヤサスペンション後方にはOS技研3速クロスギヤが組まれたミッションを冷やすためのオイルクーラーが吊り下げられる。また、クラッチはカーボンツインプレートのATS製で強化。デフも、リヤのアクティブLSDをキャンセルした上で前後にオーテックツカダの特注ATS製カーボンLSDが装着される。

足回りは車高調からアーム類までATTKD製品で構成される仙脚システム。車高調は塚田顧問が走り込み、その車両に合わせて独自のセットアップを施すワンオフ品と言っていい。フロントはロワアームの延長加工とロングドライブシャフトの採用でワイドトレッド化を実現している。隆光社長いわく、「足回りはどんどん進化してるよ」。

ホイールは18インチのエンケイGCT02でリム幅10.5J、オフセット+22の4本通し。タイヤは295/30サイズのハンコックヴェンタスTD GマックスのSコンパウンドが組み合わされる。

ステアリングホイールはモモDシェイプの350φバックスキンタイプで操作性を向上。メインメーターとセンターコンソールの3連メーターはニスモ製となる。追加メーターはトラスト製で統一。Aピラーに油圧計と水温計、ダッシュボード上にブースト計と油温計が並ぶ。また、ブースト圧はHKS EVCⅥ-IR 2.4、前後駆動トルク配分はカンサイサービス製アクティブE-TSコントローラーで制御。

運転席はブリッドXERO(ゼロ)CSのカーボンシェルタイプ。サポート性を高めるだけでなく軽量化にも貢献する。シートベルトはシュロス製6点式フルハーネス。今回は撮影のため助手席も付けてきてもらったが、サーキットアタックでは取り外される。

外装はエアロミックス仕様で、フロント周りはニスモ製バンパーにカーボンリップスポイラーを追加。カナードはディフェンドレーシング製、アルミ複合材を使ったワンオフアンダーパネルの両端にはハリボテレーシング製サイドスプリッターを追加してダウンフォースを稼ぐ。

リヤウイングはドライカーボン製のエスプリ052。純正ウイングの翼端板を活かし、ワンオフステーを介して装着される。また、高速域でのパラシュート効果を防ぐため、リヤバンパーにはアウトレットダクト加工を実施。サイドステップはハセミスポーツ製、リヤアンダーはトップシークレット製を組み合わせる。

「これまでの筑波ベストタイムは1分0秒8。ツカダさんのところに通い始めた頃の目標だった、“筑波1分切り”がようやく見えてきました」。そう話す田村さんは現在50歳。BCNR33を手に入れてから26年が経ち、振り返ると人生の半分以上を共に過ごしてきたことになる。

その時間が物語るように、田村さんにとってBCNR33は他の何物にも代え難い相棒。オーテックツカダのバックアップを受けながら、サーキットアタックは続いていくのだ。

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●取材協力:オーテックツカダ 長野県長野市大豆島5862-1 TEL:026-221-3086

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【関連リンク】
オーテックツカダ
http://www.attkd.co.jp

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