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HKSチューンドの集大成
世界を見据えたBNR34最強スペック
世界中のクルマ好きを魅了するJDMカスタム。アニメや映画の影響もあり、その人気は高まる一方だ。しかし、失われた30年と言われる経済的な影響もあってか、近頃は海外メーカー勢に押され気味だった感も否めない。

そんな中、日本を代表するチューニングブランド“HKS”が狼煙を上げた。『THE HKS(ジ・エッチ・ケー・エス)』。昨年、創業50周年の節目を迎えた同社が、長年に渡って培ってきた技術や流儀、思想など全てを注ぎ込み、最高の1台を創り上げていく一大プロジェクトだ。昨年はGR86とR35GT-Rが披露されたが、今年の東京オートサロンではその真打ちとも呼べるR34GT-Rが発表された。

コードネームは『Dimension:Z』。「未知なる境地の創造」をテーマに掲げるこのBNR34では、ストリートからサーキットまでシーンを問わず、最高の走りを堪能できる1台を目指した。最高品質のパーツが惜しみなく投入されるのはもちろん、それらが最高のパフォーマンスを発揮できるように時間を掛けてじっくりと調律される。スペックや数値だけに捉われることなく、扱いやすさや快適性といった面まで踏み込んだ開発が行われているのも見所だ。



心臓部に収められたのはRB30コンプリートエンジン。超薄型設計の2分割ピストンや専用クランクシャフトを採用することで、ハイデッキ化することなく排気量3.0L化を実現したHKS最強スペックだ。これにVカムステップ3やGT7095BBタービンを組み合せる。豊かな排気量と可変バルタイ化の恩恵により低速域から十分なトルクを発揮する至高のエンジンは、F-CON Vプロバージョン3.4やEVCⅣで制御され、最高出力900psを発揮する。



高出力化に伴い、インジェクター容量は980ccに拡大、燃料ポンプは295Lを2機掛けとされ、フューエルラインも割れにくい素材のパイプで引き直された。また、Rタイプインタークーラーやフルチタンのスーパーターボマフラーなどによって吸排気環境が整えられ、パイピングの太さや取り回しも最適化。質感の高いチッピング塗装で仕上げられるなど、ビジュアルも徹底追求。ストリートでの扱いやすさも考慮し、ミッションはシーケンシャルドグではなく、あえてクロス化されたゲトラグ強化タイプが採用されている。

足回りはハイパーマックスRベースのTHE HKSスペックで、ブレーキはエンドレスの最新モノブロックキャリパーを投入。タイヤ&ホイールは、アドバンレーシングGTビヨンドの19インチに275/35サイズのアドバンA052という布陣で、900psに達する大パワーを受け止める。


マットホワイトにラッピングされたエクステリアで目を引くのは、THE HKS専用設計となる大型のGTウイングだ。こちらは車速などに応じてウイング角度を調整することで、走行安定性を高めるDSR機構付き。直線ではフラップを寝かせることで最高速を伸ばし、ブレーキング時やコーナリング時にはフラップを起こすことで効果的にダウンフォースを獲得できる。

ハイダウンフォースを生み出すリヤウイングに合わせて、フロントにはドライカーボン製のフロントディフューザーが導入された。


あくまでストリート仕様ということで、エアコンなどの快適装備はそのまま。ロールケージもあえて入れなかったそうだ。ナルディのステアリングやワークスベルのラフィックス(脱着式ボス)、そしてブリッドのバケットシートは全てHKSロゴ&柄入りのコラボモデルに変更。カーボン仕様のセンターコンソールにはEVCのコントローラーをインストールし、ダッシュボードにはシリアルナンバー入りのプレートも装着される。

THE HKSプロジェクトとしては初めて、クルマの骨幹とも言えるボディに手が入るのも特筆すべきポイントだろう。BNR34はその登場から年月が経過しているため、必要に応じてボディのレストアやスポット増しなどの補強が行なわれる。つまり、完璧なボディから作り上げられる至高のチューンドRというわけだ。

となると気になるのはプライスだが、8800万円〜(1200万円のベース車を使用した場合の参考価格)と、これまた弩級。限られたセレブリティだけが手に入れられるプレミアムコンプリートとなっている。HKSテクノロジーの集大成として送り出される究極の第二世代GT-Rは、世界中のカスタムフリークを虜にする魅力で溢れている。まさに羨望の存在だ。
●問い合わせ:エッチ・ケー・エス 静岡県富士宮市北山7181 TEL:0544-29-1235
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エッチ・ケー・エス
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