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派手な演出を避けつつ個性を主張!
走りを予感させるエクステリアのメイキングも見どころ!
クルマ好きなら思わず納得の、なかなか熱い車歴だ。S13に始まり、S14前期型、JZS161、エンジンから足回りまでS15用を移植したRPS13、FD2と乗り継ぎ、SXE10に至ったオーナーの小林さん。取材したSXE10は購入してから11年が経ち、「一番長く所有しているクルマですね」と言う。
このうちセダンは3台。JZS161は2JZ-GTEに興味があって手に入れたものの、4速ATでは走りに物足りなさを覚えて手放した。その後、FD2を購入したのは、それまで乗ったことがないFFであったことに加え、一度VTECを味わってみたいと思ったからだ。
「確かに速くていいクルマでした。K20Aは上まで回るし、パワーもあったし。でも、FRを乗り継いできただけに、アクセルで姿勢をコントロールできる楽しさの部分で、“やっぱりFFは違うな…”と思ったんです」。
そこで乗り替えたのがアルテッツァ。ワンメイクレース車両や、S耐で活躍したアドバンアルテッツァの印象が鮮烈な記憶として残っていたことが購入に至るきっかけだった。

鈴鹿や美浜、スパ西浦を走る小林さんは、そんなアルテッツァをサーキット仕様として製作。手元にきた時は戸田レーシング製キットで排気量が2.2Lに拡大され、TRDの3速クロスミッションが組まれていたが、程なくしてエンジンがブロー。そこで後期型の部品取り車を買ってきてエンジンやミッション、前中期型に対してギヤレシオが速められたステアリングギヤボックスなどを移植した。
「2.2Lのまま直そうとも思ったんですけど、トルクはあっても上が回らない。NAなのにそれじゃあ面白くないと思ってエンジンを載せ換えたんです。それと鈴鹿を考えると、クロスミッションは3速だと吹け切って4速じゃ回転が落ちすぎてしまうポイントがあって。エンジンもミッションもノーマルに戻したんでデチューンと思われるかもしれませんが、これでファイナルを4.5にしたらドンピシャだったんです」と小林さん。


また、鈴鹿を連続周回できるよう、冷却系を抜かりなく強化しているのもポイント。ラジエターはタバタ製アルミ、オイルクーラーはHKS製15段、パワステクーラーはAPP製汎用が組まれ、アールズ製汎用コアを使ったデフオイルクーラーも装備されており、トランクルーム内のチルトン製オイルポンプで駆動している。特にR180サイズで容量が小さい純正デフは100km/h巡航でも油温が110℃以上になってしまうため、サーキット走行を考えたらデフオイルクーラーの追加は必須と言える。熱的にキツくなるファイナル比のロ―ギヤード化を図っているなら、なおさらだ。

フロントカバーに貼られたステッカー。G5は最終型MT用エンジンであることを示す。「前期型G1、中期型G3と奇数がMT用、同じくG2、G4と偶数がAT用。ちなみに最終型AT用はG4で、G6は存在しないみたいです」と小林さん。

エキマニはマキシムワークス製に交換。パイプ径45φ→60.5φの4-1タイプとなる。マフラーはメインパイプ径60φのワンオフ品。オーバルサイレンサーの採用で排気効率と消音性を両立する。

メインハーネスを含めたエンジン換装に伴い、メーターパネルもタコメーターをセンターに配置した最終型用に交換。ステアリングコラム左側にはHKSサーキットアタックカウンターとFCコマンダーが確認できる。ダッシュボード右端のビリオンVFCプロはデフ油温用メーターとして使われる。

ダッシュボード中央の小物入れを活用してデフィDINゲージを装着。サーキット走行時など必要な時だけでフタを開け、閉めれば追加メーターを隠せるというアイデア賞もののモディファイだ。

前席はFRP製ブラックシェルと専用表皮を採用したブリッドジータⅢスポーツCに交換。運転席にはHPI製4点式フルハーネスも装備する。
車高調はエンドレスジール製。鈴鹿に合わせてフロント22kg/mm、リヤ18kg/mmのスイフト製スプリングが組まれる。また、フロントにクスコ製アッパーアーム、イケヤフォーミュラ製ロワアームとテンションロッド、リヤにはシルクロード製トーコントロールアームを組んで調整範囲を拡大。「基本的にオーバーステア傾向なので、今後はリヤキャンバーを見直したいです」と小林さん。ブレーキは前後UCF30キャリパーとJZA80ローターで強化。


リヤウイングはクスコ製インプレッサ用を流用。穴位置を加工して装着する。また、フロント、サイド、リヤには小林さんがDIYで製作されたアルミ合板製アンダーパネルを追加。チラッと写るリヤアンダーディフューザーはシルクロード製だ。

ボディ補強も万全。フロントメインフレーム前端の左右を剛結するトムス製サイドフレーム強化ブレースを始め、TRD製メンバーブレースにドゥーラック製フロアサポートバー、クスコ製前後タワーバー、リヤエンドバーなどが装着される。その上で、エンドレスジール製車高調をセット。調整式アームを含めて鈴鹿に合わせたセッティングが施される。
ちなみに、美浜46秒9、スパ西浦1分1秒2、パワステトラブルを抱えつつ、鈴鹿2分34秒8というのが各サーキットでのベストタイム。エンジン本体には一切手を加えていない吸排気+ECUチューン仕様であることを考えると、いかにトータルバランスに優れた仕上がりなのかが分かるはずだ。
小林さんが言う。「デビューからもう25年以上が経ちますけど、シャシー性能の高さは今でも十分通用するものだと思います。鈴鹿を攻めていても安心感が高く、挙動が破綻しそうな気配すら感じませんから。2007年、GAZOOレーシングが初めてニュル24時間耐久に参戦した時のベース車がアルテッツァ。結局、そういうことだったんだと思います」。言葉の端々から伝わってくる惚れ込みよう。小林さんの“アルテッツァ熱”は、まだまだ上がっていきそうな勢いだ。
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