目次
2JZエンジンは永遠の定番だ!
通常メンテナンスのみで手軽に楽しめる600馬力の世界
パワーアップに対する耐久性が抜群に高く、エンジン本体に手を加えることなく600psを許容する。そんな理由から、チューニングベースとして未だに根強い人気を誇るのがトヨタ2JZ-GTEだ。

取材車両のJZS161は“エスプリ”が手掛けた一台。JZA80を含め、これまで数々のチューニングカーを作り上げてきた中で、台数的には多かったというTO4Zシングルターボ仕様とされる。

「HKSがエキマニまで含めた2JZ用キットを出していることもあって、この仕様は結構な台数を作りましたね。フルタービンなのに手軽に組めますし、ブースト圧1.5キロで600psを狙える。2JZとのマッチングが良く、扱いにくさを感じることもないのでストリート仕様にはピッタリなんですよ」とはエスプリのメカニック北村さん。

タービン交換に合わせてHKS製前置きインタークーラーを導入し、燃料系はサード製ポンプとVR38DETT純正インジェクターで容量アップが図られる。エンジン制御はF-CON Vプロバージョン3.4が担当。EVCⅥでブースト圧をコントロールする。

また、エンジン本体には問題がなくても、600psとなるとさすがに駆動系の対策が必須。ミッションは4速ATのまま、ATFクーラーの追加やライン油圧のアップなどが施される。

内装はステアリングホイールまで含めてフルノーマルで、追加メーターも一切装着されない。唯一、レヴォルフェS.A.製320km/hフルスケールメーターだけが、このJZS161の素性を物語る。

JZS161の弱点とされるのがブレーキ。1.7トンに迫る車重に対してノーマルは明らかに容量不足で、たとえパワーアップしていなくても、安心して踏むためには強化したいポイントと言える。
北村さんいわく、「JZS161のオーナーさん、実はR35も所有しているんですよ。で、ある時、“GT-Rのブレーキをアリストに付けられないの?”という話があったので、じゃあやってみますか!! と。そんなところからスタートしました」。そこで、ブラケットをワンオフ製作してフロントにR35純正6ポットキャリパーを装着。制動力の前後バランスを適正化するため、リヤにはウィルウッド製4ポットキャリパーが組み合わされることになった。

600psというパワーを目にするとフルチューンに思えるかもしれない。しかし、気難しさをほとんど感じることはなく、定期的なオイル交換など、日常メンテを怠らなければ性能を維持できてしまうのも2JZ-GTEの凄さだったりする。

長年そのチューニングを手掛けてきたエスプリが、2JZに関して豊富な知識やノウハウを持っていることは言うまでもない。そんな背景があるからこそ、シチュエーションを問わないストリート快速セダンが、ここに完成したわけだ。
●取材協力:エスプリ 三重県鈴鹿市住吉3-19-1 TEL:0593-70-8080
【関連リンク】
エスプリ
http://www.esprit.to/