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F-CON iSとパワーエディターで綿密に制御
RZに加えて導入されたRCグレードのシェイクダウンに密着
ノーマルで272psものパワーを発揮する3気筒1.6Lターボエンジン、FFベースながらリヤ寄りの駆動配分にすることも可能な4WDシステムなど、トヨタの本気を強く感じさせてくれるGRヤリス。
そのポテンシャルの高さに惚れ込み、RZハイパフォーマンスグレードとRCグレードの2台体制で精力的なパーツ開発&走り込みを重ねているのが、奈良県の“カンサイサービス”だ。今回紹介するのは、そんな名門チューナーが試験的に実施した本格ブーストアップ仕様のRCグレードの方である。
GRヤリスのメインECUはかなり解析が難しいため、その前段階としてHKSのパワーエディターを投入し実測で285ps&45.5kgm(ブースト1.8キロ)までドーピング。そこにサブコンのF-CON iSを組み合わせ、各マップに補正をかけることで中高回転域でパワーが伸びる296.5ps&46kgmを作り上げたのだ。
サスペンションは、リニアなハンドリンク特性を求めてHKSのハイパーマックスⅣ SP(F12kg/mm R16kg/mm)でアプローチ。クスコのタイプRS機械式LSD(F:1WAY R:1.5WAY)とのバランスを見極めながら、旋回時と挙動の安定性を高次元で両立できる仕様を目指して開発を進めている最中だ。
ブレーキはオプションの18インチパッケージで強化し、パッドにはプロジェクト・ミューのレーシングN+を合わせている。
タイヤは、グリップ性能やタイムだけで考えるなら255サイズ、さらには265サイズも視野に入ってくるのだが、現状のパッケージならバネ下重量やコストも含めた総合評価で245サイズが最適解と考えているそう。今回は245/40R18のアドバンA052を履いていた。ホイールはアドバンレーシングRG-4(9.5J+45)だ。
ディスプレイオーディオレスのRCのセンタースペースには、ロガー機能を備えたデフィのスポーツディスプレイFをインストール。タイムだけでなく数値変化からもチューニングの最適解を探っていくのだ。
ドライバーズシートは高いホールド性を誇るフルバケット式のレカロRMSを導入。テスト車両のため、助手席レスの軽量ワンシーター仕様としている。
エクステリアはオリジナルのエアロパーツでフル武装。どれも純正のスタイリングを活かしながらワンランク上の空力性能とドレスアップ効果を狙った、カンサイサービス渾身のデザインとなっている。
セントラルサーキットで行われたテスト当日のタイムは1分27秒250。ドライバーを担当したターザン山田は「コントローラブルで乗りやすい。カンサイサービスらしいクオリティだね。ただし、足回りのレベルが高い分、パワーの使い方が難しいというか、シフトアップポイントに悩むシーンが結構あったんだ。ギヤ比を含めた調整が今後必要になってくるかもしれない」とコメント。
「シェイクダウンでしたけど、必要最小限の暫定仕様ながらも合格点だったかなと思います。今回の結果を参考に、GRヤリスのチューニングをさらに加速させていきますのでご期待ください」とはカンサイサービス向井さん。スバルや三菱の4WDスポーツチューンで培われた技術力を武器に、GRヤリスと向き合うカンサイサービス。オーナーはその動向に注目されたし!
●取材協力:カンサイサービス 奈良県奈良市小倉町1080 TEL:0743-84-0126
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カンサイサービス
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