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USDMなカスタムパーツを多数投入!
日本らしい旧車スタイルとは一線を画すオリジナル仕様
S30系フェアレディZと言えば、改めて紹介するまでもない旧車チューンの王道だ。そもそも、そのスポーティなデザインからか、S30系Zのオーナーにはチューニング志向が強い傾向にあり、搭載されているL型の派生系チューニングはもちろん、エンジン換装やボディカスタムなど、ありとあらゆる方向性のマシンが存在する。
今回紹介するのはJDMシーンに大きな影響を受け、そこに独自のアメリカンテイストを盛り込んだオンリーワンの240Zだ。
「昔から日本の旧車が大好きでした。でも僕はアメリカ人だから、カスタムをするならアメリカらしいテイストを入れたいと思ったんです。もちろん日本の旧車スタイルへのリスペクトも込めたバランスの良い形でね」とはオーナーのリコ。
ボディキットは往年のIMSAスタイルの製品をチョイス。一般的なオーバーフェンダー仕様としなかったのは、ひと目でアメリカらしいイメージを伝えるためだとか。
特徴的なゴールドのボディカラーは、日本の文化を探る過程で知った「スケベ椅子」を参考にしたそうな。ちなみに、リコはこの240Zだけでなく、AE86や180SX、RWB仕様のポルシェ911も所有しているが、その全てが同様のゴールドに塗装済みというから恐れ入る。
エンジンはL型だが、後継モデルである280ZXターボに搭載されたL28ETがベース。3.1Lまで排気量を拡大した上でミクニ50φキャブを組み合わせたフルチューン仕様となる。パワースペックはまだ暫定的とのことだが、すでに300psは超えているはずだ。
ヘッドカバーにはオーナーの名前の刻印が…。これは、ワンオフのヘッドカバーを開発・販売するニュージーランドの“BSPEED”社にオーダーした特注品とのこと。
足回りは日米混合仕様だ。車高調はテインの特注モデルで、ホイール&タイヤは18インチのワークマイスターM1(F11.5J-47 R12.5J-85)&プロクセスR888R(F315/30-18 R335/30-18)の組み合わせ。その他、ブレーキ(ウィルウッド)や各種アーム類(アリゾナZカー)はアメリカブランドをチョイスしている。
ボディメイクも刺激的だ。ブラスト処理でサビや腐食箇所を取り除き、レースカー顔負けのフルスポット増しとカスタムロールケージで剛強ボディを構築。そこにワンオフのダッシュパネルやステアリングシステムを組み込み、恐ろしくシンプルなコクピットを作り上げている。
ワンオフのダッシュパネルにバランスよく配置されたオートーメーター製の計器類。大型のタコメーターをセンターに据え、潔くスピードメーターレス仕様としているのもポイントだ。
レーシングバッテリーやMSDのレブリミッターなどの電装パーツは助手席足元に美しくマウント。ヒューズの配線も芸術的だ。
ロールケージのサイドバー部は外側に大きく逃げる独特の形状となっている。これについてリコは「オフセット衝突時の乗員保護というのもあるけど、どちらかというとNASCARのオマージュだね」と語る。
室内後部には消火器のボンベをセット。作動させると室内後部、コクピット、エンジンルームの3箇所に消火剤が噴霧されるレースシステムだ。
リコの夢は自分の愛車を東京オートサロンに展示すること。それを実現するために、すでに輸送にかかる費用などの計算を始めているそうだ。
「日本の旧車を見て、私達は最高にカッコ良いと感じます。では、その逆はどうなんだろう。それを知りたいんです」。スケベ椅子カラーのホットな240Zが、日本に上陸する日はそう遠くないのかもしれない。
●取材イベント:SEMA SHOW 2021