460psツインターボのパワーを受け止めるKW車高調の実力

峠に響き渡るアクラポヴィッチサウンドも快感

BMWのMシリーズは、市販モデルをベースにメーカー自身がチューニングを施したスポーツモデル。“M”のルーツは1985年に登場した初代M3ということになるが、現行モデルでそのDNAを受け継ぐFRレイアウトのピュアスポーツとして位置づけられているのが最もコンパクトなM2クーペだ。

今回のワインディングテストで、KWオートモーティブジャパンが持ち込んだのは、2023年に登場した2代目の現行モデルG87型。果たしてどんなパフォーマンスを披露してくれるのか楽しみだ。

G87M2クーペでまず注目は、圧倒的なハイパフォーマンスの源となっているパワーユニットだ。BMWの代名詞として知られる3.0Lストレート6は先代モデルからさらに進化が図られ、ツインターボチャージャーとの組み合わせで生み出される最高出力は460ps(25モデルは480ps)、最大トルクは56.1kgm。メーカーによる0-100km/h加速性能は4.1秒だ。

そんな大パワーをしっかりと受け止め、スポーツ性能と走りの質を向上させるキーパーツとなっているのが、KWの高性能サスペンションユニット”V5 CLUBSPORT”だ。KWのラインナップではトラックパフォーマンスのカテゴリーに属するシリーズで、スポーツラジアル装着でのサーキットパフォーマンスを追求しながらストリートでの扱いやすさも加味した特性となっている。

ダンパー構造はKWが拘るツインチューブ方式で、V5ではソリッドピストンと呼ばれる独自の機構を採用している。これは2017年にレーシングサスペンション用に開発されたもので、ピストンに積層シムを組み合わせる従来構造とは異なり、ピストン内部でオイルを通過させずに減衰力を発生させるのが特徴だ。

KW製サスペンションキットのネーミングにある数字は減衰力調整のタイプを示すもので、V5 CLUBSPORTは4ウェイ方式。4ウェイとは、伸び/縮み側のそれぞれで低速/高速のショックの動きに応じた調整機能を備えているので、コースやドライバーの好みに応じたサスペンションセッティングが可能となる。

テスト車両のM2クーペでは、V5 CLUBSPORTに他にリヤコントロールアームをKW製の調整式のピロボールタイプに変更。ホイール&タイヤは、BBSジャーマニーのCI-Rアンリミテッド(F9.5J✕20インチ R10.5J✕20インチ)にアドバンネオバAD09(F275/30 R285/30)の組み合わせとなっている。

この他、パワー系の変更点は、2輪・4輪レース用の高性能エキゾーストシステムを供給するスロベニアのアクラポヴィッチ製マフラー&中間パイプで排気効率を向上。バンパーボトムのカーボンディフューザーとスワンネックマウント方式のリヤウイングは、マフラーのオプションとして設定されているものだ。

このチューンドに試乗した飯田章選手は、「まずクルマ好きの皆さんに伝えたいのは、ぜひとも自身でこのサスペンションを味わってみてほしいということ。低速で流すような走りではやや当たりの強さは感じるが、速度の上昇に比例してなめらかで乗り心地が良くなってタイヤからのインフォーメーションがダイレクトに伝わる。170万円のサスキットは誰もが手にできるものではないかもしれないけど、徹底的なデータ取りとテストによる開発姿勢や絶対的な信頼性と安全性を知れば、決して高いものではないと思うな」と絶賛。

導入コストは確かに高い。しかし、走りの質を高め、快適さも欲しいという場合は選ばない理由はない。競技シーンで培った本物の技術をストリートシーンでもマルチに体感できる、超ハイレベルなサスペンションシステムなのだ。

●問い合わせ:KWオートモーティブジャパン TEL:075-771-7351

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