19歳で手に入れ、10年かけて育てた愛機
父から受け継ぎ、今も深化を続けるGVB
“たなか”さんがこのGVBを手に入れたのは、19歳の頃。父親から譲り受けるかたちで手元にやってきた。それから10年の歳月をかけ、じっくりとこのマシンを仕上げてきた。
当初はサーキット走行をメインに使用していたが、現在は「置き系」イベントにも対応できるよう、マルチな仕様を追求しているのが特徴だ。

足元を引き締めるのは、ボルクレーシングTE37SL。GVBでは異例とも言える11J+18という攻めたサイズを前後に履く。その装着に合わせてフェンダーは板金加工で片側約10mmワイド化されているが、造形は純正風の自然な仕上がり。パッと見では加工されていることに気づかないほどだ。
アーム類も工夫されており、フロントにはショートアッパーを導入。リヤにはクスコ製の各種調整式アームを組み合わせ、さらにZN6型86純正ナックルを投入。これにより、ショートナックル加工と同様の効果を狙い、11Jのホイールを自然に収めている。

車高調には、かつてディーランゲージが販売していたスペシャル仕様のオーリンズ(F16kg/mm R14kg/mm)を装着。ブレーキはフロントにエンドレス・モノ6、リヤにモノ4Rを組み合わせ、走行性能を高めている。


エンジンとタービンは純正のままながら、ECUはECU-TEKで書き換え、HKS製EVC6-iRブーストコントローラーを追加してブーストアップを実施。吸排気系にはHKSレーシングサクションと、ディーランゲージ製エアクリーナーボックスを組み合わせ、冷却系にはトラスト製2層アルミラジエターを採用。出力はおよそ350psに到達する。



内装はリアシートや内張りを取り外したドンガラ仕様。シートは左右ともレカロRS-G(ASM限定モデル)を採用し、ロールケージはホイールカラーに合わせたホワイトに塗装されたサイトウロールケージ製を装着している。


シフターはCAEウルトラシフター。クイックかつダイレクトな操作感が得られ、室内にスパルタンな雰囲気を演出。助手席側のグローブボックス上にはデフィ製の追加メーター(左からブースト、油温、水温、油圧)が並び、常に車両状態を把握できるようになっている。


エアロパーツはフロントリップ、サイド、リヤディフューザーを軸としたシンプルな構成。リヤウイングのフラップは、たなかさんのこだわりを詰め込んだワンオフ品だ。

「置き」イベントでも映えるルックスを持ちつつ、富士スピードウェイでは1分55秒台というベストタイムを記録する実力派。このGVBは、ショーカーとしての華やかさと、サーキットマシンとしての速さを両立する。まさに“こだわりの結晶”と言える1台だ。
PHOTO:小竹 充(Mitsuru KOTAKE)
⚫︎取材イベント:Lowstars meetimg 2025

