基本的なメンテのみでトラブルフリー!

進化を続けるWING21のS14デモカーの秘密とは

鮮やかなカラーリングに身を包み、鋭いフォルムで存在感を放つS14シルビア。このデモカーは、名古屋の名門「WING21」の代表・小貝さんが18年もの長きにわたって乗り続けてきた一台だ。

ユーラスのフルエアロ、カナード、ボルテックスGTウイングなど、見た目はバリバリのサーキット仕様。しかしその中身は「信頼性」と「実用性」を高次元で両立した完成度の高いマシンに仕上がっている。

心臓部にはGT3071Rタービンを組み合わせ、最大ブースト1.5キロで450psを発生。注目すべきは「エンジンオイルの交換など、基本的なメンテナンスだけで一度もトラブルがない」という点。SR20DET本体は、HKS鍛造ピストンに東名ポンカムを組んだだけで、あくまで“市販パーツだけ”で構成されているのが特徴だ。

この仕様でサーキットを年3回走行し、鈴鹿では2分24秒台をマーク。エンジン組み上げから10年経った今もなお、現役で快走中というのだから驚きだ。

小貝さんいわく、「重要なのはラッシュアジャスターのクリアランス調整と、レブを8000rpmで頭打ちにしていること」。SR20でありがちなロッカーアーム脱落のリスクも、これで完全に封じ込めている。

さらに興味深いのはタービンの選定。2.2L化&GT3076Rの組み合わせが主流のなか、こちらはあえて2.0LのままGT3071Rに大径ハウジングをセット。これにより高ブースト化と広いパワーバンドを両立している。

吸気系にも抜かりはない。スロットルボディはNA用のSR20DEから流用し、吸気効率アップを実現。サージタンクは現在純正だが、さらなるパワーを見据えトラスト製の大容量タイプへ交換予定だ。

室内には、タニダと共同開発したWING21オリジナルステアリングとフルバケを装着。

追加メーターは信頼のトラスト製で、ブースト・水温・油温・油圧を常時モニター。下にはF-CON Vプロが堂々と鎮座し、細かな制御を一手に担っている。

駆動系にはニスモ6速ミッション、ORCメタルツイン、ニスモGT LSDを投入。コースに合わせてファイナルを3.7/3.9/4.1で使い分ける本気仕様だ。

足まわりはHKSハイパーマックスⅣSPをチョイス。将来的にはハイパーマックスRへのステップアップも視野に入れている。ブレーキはエンドレス製BNR34用キットで強化済み。前後のキャリパー&ローターはそれぞれ6ポット+370mm、4ポット+355mmだ。

冷却系も万全で、トラスト製インタークーラー&オイルクーラーに加え、サード製ラジエター&フューエルクーラーまで完備。夏場の連続アタックにも余裕で対応する。

小貝さんは言う。「特別なことは何もしていません。当たり前のことを当たり前にやるだけ」。その言葉通り、派手さの裏にある地道なセッティングと確かな整備こそが、この“壊れない450ps”を支える秘訣なのだ。そしてこのS14はさらなるアップデートが予定されている。

500psの壁を超える日は、もうすぐそこだ─。

●問い合わせ:ウイング21 愛知県名古屋市天白区島田3-306 TEL:052-806-5500

「最後のFRターボ純血種」S15シルビア、今こそ讃えたい。

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