純正ECUを活かすセッティングツール!
ECUセッティングを手軽かつ自由に
足回りなら車高調、駆動系ではLSDと、現在に至るストリートチューニングの発展の道のりにおいて、いくつかのエポックメイキングなパーツが誕生してきた。エンジンチューニングにおいてのそれは、ロムチューニングだったと断言しても異論はあるまい。

ロムチューニングの誕生は1980年代の半ば頃。排ガス規制への対応としてチューニングベース車のEFI化が進んでいたが、純正ECUはブラックボックスと呼ばれる立入禁止領域。そんなそれまでの常識を覆したのが、燃料や点火マップを書き換え、各種リミッターを解除するロムチューン。そして、そのターゲットとなったのが88年に登場したS13系シルビア。以降S14、S15へと続くシルビア黄金時代はロムチューンが支えていたとも言えるのだ。

ここで紹介するNISTUNE(ニスチューン)は、オーストラリアで開発されたロムチューンの進化バージョンだ。ロムチューンでは燃料、点火を始めとした各種マップを書き換えるためには毎回ECUユニットやロムの脱着をしなければならなかったが、その手順が不要となる画期的なシステムなのだ。


ニスチューンの核となるのは、ロムの代わりに装着するニスチューンボードと呼ばれる専用基盤。ボードにはフラッシュメモリーが搭載され、故障診断用のコンサルトコネクターを介してアクセスを可能としているので、パソコンを接続するだけでシャシーダイナモ上や実走しながらリアルタイムにマップの書き換えができるのだ。

ECUデータを編集するためのセッティングソフトも用意されていて、ホームページにて無償で配布。従来のロムチューンイメージを払拭する分かりやすいインターフェースが特徴で、変更したいマップやテーブルは選択方式となっているので、アドレスがわからなくても燃調や点火時期のセッティングができる。
マップ内のデータも16進だけでなく、10進や実数表示が任意に選べるのも嬉しいポイントと言えるだろう。他にも速度や回転リミッターの変更や解除はもちろん、タービン交換や排気量アップといったハードチューンの制御で必要となるエアフロやインジェクター変更も選択肢の中から選ぶだけの簡単設定。
さらに、吸気の吹き返しによるストール対策として、純正ECUにはないアイドリング制御テーブルもニスチューンには追加される。またソフトウェアには、マップのどこを読んでいるかを確認できるマップトレース機能や、アクティブマップ認識機能という複数あるマップのどれを読んでいるのかを確認できる機能も装備。水温や吸気温、空燃比などを確認するデータロガー機能と合わせ、セッティングビギナーからプロチューナーまで幅広く対応できるものとなっている。

「高機能のニスチューンですが、それを活かせるかどうかはセッティング次第。ボードの装着と初期セッティングまでは、信頼できるお店で行なうべきです」とは、今回の取材に協力してくれたステージインターナショナルの亀田さん。

優れた純正制御をフルに活かしたトラブルが少ないロムチューンのメリットと、サブコンやフルコンの操作性の高さを併せ持つのがニスチューン。近年増加しているファインチューン仕様のシルビアには、ベストな選択となるエンジン制御システムだ。
⚫︎取材協力:アールパフォーマンス 群馬県館林市羽附旭町808-1 TEL:0276-75-7616/ステージインターナショナル
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