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FK7を覚醒させるビッグタービンキットに注目
タイプRキラーの戦闘力は伊達じゃない!
10代目シビック(FK7/FK8)のチューニングはタイプRがメインストリームとはいえ、1.5LのVTECターボエンジンを搭載するシビックハッチバックも潜在能力は非常に高いホットモデル。それを証明するために、FK7シビックハッチバックをデモカーに招き入れ、タイプRと比較しながらチューニングを展開しているのがホンダ車チューンの名門“スプーン”だ。
早い段階で筑波サーキットでのラップタイムはノーマルのシビックタイプRを上回っていたが、スプーンでは“タイプRキラー”としてのパフォーマンスをさらに高めるべく、パワー系チューニングを徹底。そうして完成させたのが、今回紹介するビッグターボ仕様だ。
1.5LターボのL15Cは、独自のノウハウを投入したオリジナルターボキット(27万5000円)で武装。これはMHI製のボルトオン設計で、ハウジング容量やブレード形状の最適化によって、低速トルクと高回転でのパワーを両立させているのが特徴だ。
パワーアップ率はかなりのもので、燃料系はノーマルのままHONDATAのECUチューンで、ブースト1.8キロ時に実測275ps&41kgmというパワーを獲得している。
60φフロントパイプも含めたフルエキゾーストタイプで、高トルク、ハイレスポンスを追求したN1マフラー。砲弾型サイレンサーは迫力の127φだ。
サスペンションには、ドイツKW社のネジ式車高調ベースのオリジナル仕様(FR8kg/mm)をセット。サーキット走行を睨んだややハードなセッティングが施されている。しっかり4輪を接地させながら、オリジナルLSDでガンガン引っ張っていくFFチューンドならでは味付けだ。
ホイールはオリジナルのSW388(8.5J×18+45)で、タイヤにはポテンザRE-71R(235/40-18)を組み合わせる。ブレーキは、フロントにオリジナルの6ポットキャリパーシステムを奢る。
すっきりとまとめられたインテリア。オリジナルのフルバケットシートは、高いホールド性はもちろん純正比5kg減の軽さも魅力だ。
シャープな走りの実現で効果絶大なのが軽量化。デモカーにはカーボンボンネットに加え、ルーフウイングを装着しているリヤゲートもアクリルウインドウ仕様のカーボン製。トータルでの軽量化は約50kgに及ぶ。
今回は、この本格ターボ仕様の性能を探るために高速周回路でのテストを敢行。その結果は驚くもので、0〜50キロ加速:3秒56、0〜100キロ加速:7秒58、0〜150キロ加速:13秒34、0〜200キロ加速:23秒70という、2.0Lターボのチューンドカーに近い記録をマーク。そのまま加速を続け、250.90キロまで最高速を伸ばしたのだ。
なお、最高速はまだ伸びそうであったが、パワーとギヤ比の兼ね合いから250キロ以降は厳しいと判断。踏み切れば260キロは超えたのではないかというのが、ドライバーを務めた稲田大二郎の感想だ。
「テンロク時代のタイプRのような軽快感と、FK8型タイプRを超えるためのパフォーマンス獲得を目指してきましたが、その核となるターボシステムは本当に強い武器になると考えています。新型が発表されましたが、FK7の資質は非常に高いので、これからも十分楽しめる名車だと思いますよ」とは、スプーン城本さん。
FK7シビックハッチバック乗りに夢を与え続けるスプーン。技術屋集団の次なる一手に期待が高まるばかりだ。
●取材協力:スプーン 東京都杉並区荻窪5-2-8 TEL:0120-122-095
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