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フルノーマルでも即ドリ可能なポテンシャル
電動パワステのセッティングが大きく変わっている事実
第二世代へと移行し、FRスポーツモデルとしての質感を大幅に高めたGR86&BRZ。当然ながら、このホットモデルに対するチューニング業界の注目度は非常に高いが、実際問題、前モデルと比べてどれほど走りが進化しているのだろうか。
その答えを探るべく、WEB OPTIONはD1GPトップドライバーとして名を馳せる藤野秀之選手と共に、サーキットでドリフト適性チェックを敢行した。
取材車両は、藤野選手が経営するチューニングショップ“ウィステリア”の常連が購入したGR86。グレードは最上級のRZでミッションはオートマ。納車3日目(!?)ということで、スペックはドリケツ(リヤタイヤ)以外フルノーマルだ。なお、ドリフトの邪魔になる電子制御およびABSは、旧型モデル同様、ヒューズ抜きでキャンセルした。
リヤタイヤは、旧型86純正ホイール+215/45-17のケンダカイザーKR20に変更。ドリフトアングルの維持や振り出しのしやすさを考えて、あえてグリップレベルを落としているのだ。
「まず驚いたのがエンジン。旧型とは桁違いのトルク特性ですね。低中速域が非常にパワフルだから、ドリフトを維持するのも楽。ボディ剛性も高いです。シルビアで言えばS13からS14に乗り換えたくらいの違いがありますね」とは、試乗を終えた藤野選手。
続けて「それとステアフィールも全然違う。旧型だと電動パワステの制御が気持ち悪くて、振り返しなどで遅れが出てしまうんですけど、GR86はそうした違和感がほとんどない。セルフステアも効くし、かなり改良されています。これなら、ビギナーでも楽しくドリフトを覚えられるんじゃないでしょうか」とのこと。
ちなみに、このGR86のオーナーである小笠原さんは、普段S13シルビアや180SXでドリフトをしている人物。新しい相棒の印象を聞いてみると「サイドブレーキを引くとローに戻ってしまったり、オートマならではの慣れなきゃいけない部分はありますけど、想像以上に走れますね。これならボディ補強の必要もないし、機械式LSDと足回りだけで十分に遊べると思います」と、GR86のドリフト適合度の高さに大満足の様子だった。
オートマ車でここまで高評価なのだから、マニュアル車であればさらにドリフトしやすいことは言うまでもない。藤野選手は今後、ナックルや車高調などドリフトを楽しめるGR86用パーツの開発に着手していくとのことだから、その動向には注目していきたい。
●取材イベント:風間オート走行会
TEXT&PHOTO:山本大介(Daisuke YAMAMOTO)