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2本のBピラー間を1.4メートル延長!
超ラグジュアリーなインテリアの作り込みにも注目
千葉県の日本自動車大学校(NATS)と言えば、ハイレベルな技術を学べる『カスタマイズ科』を擁する自動車専門学校。東京オートサロンの“東京国際カスタムカーコンテスト”における常連でもあるわけだが、2022年のセダン部門で最優秀賞を受賞した車両がこの『NATS Low limo』だ。
コンセプトは、リムジンとローライダーの融合。国産アッパーセダンのセンチュリーをベースに用い、ボディのセンターパートを1m40cm延長することでオリジナリティ溢れるリムジンスタイルを作り出した。
ストレッチにあたり、まずはボディのCピラー手前を輪切りにカット。延長部には同型センチュリーのドアをリヤ、フロントの順に用いることで、純正のBピラーが前後に2つあるような形状になっているのが特徴。これにより、延長部の不自然さを払拭したデザインに仕上がっている。
また、外観からは分からないが、延長部のフロアパネルやルーフパネル等は、鉄板から鈑金製作するという拘りもあったそう。その苦労の一片は室内側、延長したプロペラシャフトを通すためのセンタートンネルに伺える。
延長部に追加された片側2枚のサイドガラスはアクリル板で製作。アクリルをウインドウとするのでは保安基準に適合しないため、アクリルガラス部の内側に内装を設け、透過させずにボディの一部とすることで対策。さらに、中央の3本のライトはサイドマーカーの役割も果たしている。
ルーフには、ホンダ・エアウェイブのスカイルーフを2枚前後に並べて配置するという大胆なレイアウト。ゴージャス感はもちろん、オープンエアの解放感まで求めたメイキングだ。
ローライダーとしての要素を強調する足元には、ホワイトリボンタイヤとワイヤーホイールをセット。サスペンションはハイドロ仕様とされた。サイドモールに施されたカスタムペイントは、リムジンの全周に渡って角度にズレが生じないよう広い教室にモールを並べ、細心の注意を払って塗装を施したそうだ。
リヤウインドウもローライダーの定番カスタム“ギャングスターウインドウ”でフィニッシュ。センチュリーのリヤウインドウはそのまま使い、窓を型どったFRPフレームと汎用モールとの組み合わせで小型窓のように仕上げている。
スキッパーのハイドロユニットは、縫製でデザインを作り込んだトランク内に配置している。
スペアタイヤは、ベース車であるセンチュリーの純正ホイールをベースにカスタムペイントとワンオフカバーで装飾した。そのマウントはこれまたワンオフ品で、バンパー裏側のレインフォースに取り付け。
ボディワークに負けず劣らぬ、本格的なインテリアメイキングも必見。純正の内装部品を一度取り外し、生地を張り替えるための型を起こしてエクステリアと一体感のあるカラーリングの生地を裁縫してリモデルした。
運転席と後部座席の間にレイアウトされたソファとテーブルは、木材をベースにワンオフ。座り心地も考え、内側にはスポンジを数枚重ねるといった工夫も怠っていない。
市販車をベースに自分たちの理想とする新しいクルマを作り上げてしまうという、これぞまさに『カスタムカー』な1台。見れば見るほど、グランプリの受賞も納得な仕上がりだ。
●取材協力:NATS(日本自動車大学校) 千葉県成田市桜田296-38 TEL:0476-73-5507
【関連リンク】
NATS(日本自動車大学校)
https://www.nats.ac.jp