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2JZ-GTE+T78-29Dタービンで600馬力を発揮
リヤフェンダーは規則に合わせて片側35mm短縮!
新型車のデビューによって旧モデルも活気付くことはよくあるが、その流れは86にも適用されそうだ。これまでシルビアやツアラーの独壇場となっていた競技ドリフト“D1ライツ”に、ZN6型86ベースのマシンがシリーズ参戦することが分かった。
この86でD1ライツを戦うのは、昨シーズンまでクラウン顔のS14シルビア(通称:クラビア)で参戦していた阿久澤一幸選手。マシントラブルに悩まされていたタイミングで、ストリップボディ状態の86が手に入ったことからマシン製作をスタートさせたという。
エンジンは定番の2JZ-GTE仕様だ。ヘッドにHKSのハイカム(IN264度/EX264度)と1.2mmのヘッドガスケットを組んで搭載。制御はLINKフューリーが担当し、アンチラグシステム導入のためにKTDの電子制御スロットルも投入している。
東京オートサロン出展時はメーカー不明タービン(暫定)が装着されていたが、レース本番までにトラストのT78-29Dタービンをインストール予定。ターゲットパワーは常用ブースト1.6キロで550ps、最大1.8キロで600psとのこと。
フロントの足回りは、ガレージクリアのナックルと60mm延長のロアアームで切れ角を限界までアップ。車高調はレーシングギヤのフラッグシップモデル“フォーミュライクス”が組み合わされる。
ステアリングラックはJZX100純正を使ってパワステを電動式から油圧式へと変更した上で、取り付け位置もフロント側に15mmほどオフセット。これは、切れ角アップした車両に起こりうる逆関節症状(タイロッドとナックルが一直線になってステアリングが戻らなくなる現象)を防止するための策だ。
ホイールはワークのエモーションCR2Pで、タイヤはヴィツァータイヤのテンペスタエンツォV-01Rを履く。サイズは「前後同サイズの方が何かと便利」ということで、265/35-18を4本通しで装着している。
エクステリアはドリフト界では珍しいエイムゲインのワイドボディキットを投入。製品版は、フロント片側70mm/リヤ片側100mmのワイド設定だが、そのままではD1ライツ規則で定められている数値を超えてしまうため、リヤフェンダーのみ35mmほど拡幅を縮めている。
室内は競技仕様として作り込まれているものの、純正のダッシュボードやドアトリムは残されている。車両情報はLINKのデジタルディスプレイで一括表示。ミッションは高強度のZ34純正6速を流用している。
「86カスタムを盛り上げるには、誰かが先陣を切らないけないと思ったんです。まずはこのマシンで、去年と同じくらいの成績が出せたらなと思いますね」と意気込みを語る阿久澤選手。
2022年シリーズの開幕戦は、3月26日(土)〜27日(日)のつくるまサーキット。2JZ仕様の86が一体どんな走りを披露してくれるのか、期待が高まるばかりだ。
TEXT&PHOTO:山本 大介(Daisuke YAMAMOTO)