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わずか3年で急成長を遂げたニューカマーの素顔
タイムアタック仕様として進化を続ける激速ワンビア
2020年シーズンの筑波サーキットに彗星の如く現れ、ライトチューンのS13改ワンビアでいきなり55秒628という衝撃のタイムをマークしたタイムアタッカー『みつを』。
このニューカマーの進撃は止まらず、2021年シーズンで1秒近いタイムアップ(54秒703)を達成。さらに、2022年2月に開催されたAttack鈴鹿では、チューニングカーとしてはトップクラスのタイム、1分59秒859を叩き出したのだ。
かつては生粋の“ドリフト小僧”だったそうだが、ある時ふと「レーサーになりたい」という幼少期の夢を思い出し、方向転換。それから本格的にサーキットを走るようになり、コンマ1秒を削る喜びを知った。そして2017年にタイムアタックを開始したそうだ。
最初の3年はチューニングエンジンを作っては壊しての繰り返し。正解が分からない中「とりあえず筑波で自分の基準タイムを作ろう」と考え、2020年のAttack筑波に初エントリー。そしてポン付けターボ仕様でいきなり55秒台の好記録を叩き出し、周囲を沸かせたのだ。
現在のエンジンは、ドリフト時代から縁があるREMSに製作&セッティングを依頼。HKSの2.2Lキャパシティアップグレードキットを用いた2.2L仕様で、GCGのG35-1050タービンに2.4キロのハイブースト(スクランブル時)をかけて840psを発生させている。ちなみに、今回の鈴鹿ではブーストのスクランブルスイッチを入れ忘れ、1.9キロで走ったものの見事に2分切りを達成している。
2022年シーズン用アップデートポイントのひとつがNOSのセットアップ。以前は1ノズルのウエットショット式だったが、各シリンダーにノズルを設けるシーケンシャルショットへと変更したのだ。この刷新によって大幅なパワーアップを果たしている。
カーボンダッシュやアクリルウインドウなど、徹底的な軽量化が行われているインテリア。ロールケージはピラーと接合しつつフロントはストラットまで伸ばしてボディ剛性を引き上げている。ミッションはホリンジャーの6速シーケンシャルRD6-S。エキゾーストは室内を抜けて最短距離で排気されるスパルタン仕様だ。
強烈なダウンフォースに負けないよう、ウイングのマウントステーはトランク貫通で補強バーと接合される。
サスペンションメイクも凄まじい。リヤサスは純正を廃し、オーナー自らの手でインボード式マルチリンクを構築。製作にあたっては、かつてハコ車レースに参戦していたという廃レーシングカーを購入し、そのサスペンション構造を参考にしたという。
フロントのサスペンションはシルクロードの市販品だが、ピロアッパーの左右入れ替えやブラケットの加工、アーム類の延長加工によってトレッド幅を片側80mmほど拡幅。ブレーキはエンドレスのシステムを奢る。
タイヤは前後ともにアドバンA050の295/35R18サイズをセット。このサイズを使い切るためのワイドボディは、ドライカーボンによるスペシャル。これも2022年シーズンのバージョンアップポイントだ。
当面の目標は、筑波51秒台突入によるシングルランカー入り。ドライバーとマシンの成長率を考えると、そう遠くない将来に実現するかもしれない。そう感じさせてくれるほど、勢いと実力がある気鋭アタッカーなのである。
REPORT:渡辺大輔
●取材イベント:Attack SUZUKA 2022/GARAGE Dyu・Van TRACK DAY 2022