「空冷ポルシェにアメリカンV8を換装!?」異色の仕様で国産ターボ勢と真っ向勝負!

空冷最終モデル993にC6コルベットのエンジン搭載

来シーズンの活躍に期待大!

空冷エンジン最後のポルシェ911(タイプ993)をベースにしたタイムアタック仕様の登場だ。このマシンのキーポイントはエンジン。ポルシェのアイデンティティとも言える空冷フラット6を撤去し、シボレーのスモールブロックV8を換装しているのだ。

搭載されているのは、スモールブロック史上最強と呼ばれる7.0LのLS7だ。このパワーソースはC6型コルベットのハイパフォーマンスモデル“Z06”用に開発され、レース用のベースエンジンとしても提供されているもの。NAながら最高出力は511ps &65kgmに達しており、スワップしただけでも強烈なパフォーマンスアップが可能になるというわけだ。

LS7はアルミシリンダーブロックが採用されているため、ポルシェのフラット6に対し軽さの面でも有利。オイル循環システムがドライサンプ式のため、実は重心も相当低く搭載できるメリットがあるそうだ。

ちなみに、ポルシェにアメリカンV8を換装する手法は、アメリカですでに定番になりつつある選択肢。エンジンスワップ用のマウントキットやハーネスなども製品化されているため、大掛かりなワンオフ作業の必要はない。

細部フィニッシュに芸術性すら感じてしまうEXマニ&マフラー。高さを抑えながらスムーズに排気が流れるようにレイアウトされている。これは名門“アルトラック”によるワンオフスペシャルだ。

エンジンマネージメントはモーテックM800が担当し、電気系統はモーテックのセンターPDM(ヒューズ機能が盛り込まれたスイッチング&ブレーカーボックスのモジュール)でイチから再構築。その横にあるギヤトロニクスのコンピュータは、パドルシフトの制御を行なうものだ。

ラジエターはフロントカウル内にレイアウト。本来フューエルタンクが収まるスペースだが、バランス向上のためにタンクは助手席へ移設、空いたスペースには補強用パイプ(ストラットタワー間)が加えられている。

993RSカップに準じた溶接留めロールケージが覆い尽くすコクピットは超スパルタン仕様だ。パドルシフト化されているためシフトレバーなどは撤去されている。

ミッションはポルシェ用ホリンジャーシーケンシャルを、専用アダプターを介してLS7エンジンとドッキング。シフトはギヤトロニクスのモジュールを使い、Iパターンからパドルシフトに変更。電光石火のシフトチェンジを可能としているわけだ。

サスペンションはT-tecがオリジナルチューンしたDG5をセット。まだシェイクダウン段階のため暫定的なセッティングながら、まずまずの感触が得られたようだ。

タイヤはフロント265/リヤ295サイズのアドバンA050。ボディ自体はカレラをベースにしているが、ワイドフェンダーを加えることで大幅にトレッドを広げているのだ。

ハイダウンフォースを追求したエアロパーツも見どころの一つ。フロントセクションの複雑なスプリッターやカナード、サイドのエアダクト形状、リヤの超大型GTウイングなど、全てはマシンの走行性能を引き上げるための武器だ。

このポルシェは、“Attack鈴鹿2022”でシェイクダウンを完了。今後、8連スロットル化などのチューニングを進めながらサーキットマシンとしての純度を高めていくという。激化が進むタイムアタック戦線において、見逃せないマシンがまた一台増えたわけだ。

REPORT:渡辺大輔
●取材イベント:Attack SUZUKA 2022/GARAGE Dyu・Van TRACK DAY 2022

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