「アドバンネオバAD09とアドバンA052をガチ比較!」HKSテクニカルファクトリーのGR86デモカー開発に密着

ハイパーマックスMAX IV SPとアドバンネオバAD09を試す

話題の新作パーツを多角的にインプレッション!

どんな車種でもノーマル状態で走り込みを重ねてキャラクターを把握し、足りない部分を補う形でチューニングを進めていくHKSの旗艦店“HKSテクニカルファクトリー”。GR86に関しても従来同様のアプローチで取り組んでいることは言うまでもない。

今回は、そんな同社が筑波サーキットで行なったテストに密着。テーマは「アドバンネオバAD09とアドバンA052の比較」、そして「ハイパーマックスMAX IV SPの性能検証」という2つだ。

「ユーザーライクな仕様から徐々にステップアップしていく」というコンセプトで開発が進められているHKSテクニカルファクトリーのデモカーは、完全なストリートスペックだ。細部を見ていく。

FA24エンジン本体には一切手を入れず、インテークにHKSのスーパーエアフィルターを、エキゾーストにハイパワースペックLIIをそれぞれインストールして吸排気環境の効率アップを狙っているのみだ。

サスペンションは、ストリート向けのハイパーマックスS(試作品)から最新作のハイパーマックスMAX IV SPへとチェンジ。この車高調は、ハイパーマックスSよりもサーキット志向の強いモデルで、スプリングレートはフロント9kg/mm、リヤ10kg/mmとなる。車高はフロントがHKS推奨値、リヤはそこからさらに10mm落とした状態だ。

ホイールはアドバンレーシングRS-DFで、サイズは前後共に18インチの9.5Jプラス45だ。

ブレーキはエンドレスの製品で統一。フロントが6ポットキャリパー+340mmローター&リヤが4ポットキャリパー+326mmローターという組み合わせだ。パッドは低ダスト仕様のエンドレスSSMプラスから、よりハードなエンドレス「ニュータイプR」へと変更済みだ。

エクステリアにはHKSが展開するGR86用「ボディキットタイプS」のダックテールスポイラーを導入。キット自体は全5点構成だが、1点ずつ順次装着していくことで、単体での効果を検証していくという狙いがあるそうだ。

ドライバーを務めるのは菊地靖選手。ちなみに、前回(ハイパーマックスS+アドバンA052)の組み合わせでのベストは1分4秒240。そこから車高調とタイヤを交換してタイムがどう変化するのかが今テストの目的だ。

車高調比較「ハイパーマックスS」VS「ハイパーマックスMAX IX SP」

まずは車高調の比較からだ。タイヤは前回同様のアドバンA052(255/35−18)だが、生産の関係で新品の納期が間に合わなかったため、仕方なく今回はユーズド(前回はフレッシュ)で走行することとなった。

菊池選手は「体感差は歴然。“MAX IV SP”を“S”と比較すると、ロール量が少なくてよりタイヤを活かした走りができますね。最大のポイントは応答性。ステアリングを切った瞬間の反応がまるで別物なんです。徐々に切り足していくようなシーンでも、どんどんノーズが入っていきますしね。コーナーひとつ曲がるだけで分かるくらい違いますよ。新品タイヤだったら、もうちょっとタイムを削れたと思います」とインプレッション。

気になるタイムは1分4秒081。タイヤのハンデをものともせず、車高調の交換だけで前回の1分4秒240からコンマ1秒以上のタイムアップを実現したわけだ。

タイヤ比較「アドバンネオバAD09」VS「アドバンA052」

続いては、同サイズのアドバンネオバAD09(フレッシュ)に履き替えてのテストだ。ストリート最強のスポーツラジアルを目指したアドバンネオバAD09が、サーキットという舞台でどこまでアドバンA052に迫れるのかを検証するためだ。

結果を先にお伝えすると、アドバンネオバAD09装着時のベストラップは1分4秒802。アドバンA052装着時から約コンマ7秒落ちというわけだ。

「筑波サーキット限定で話をすると、やっぱりアドバンA052が強いですね。とくに差を感じるのが最終コーナー。アドバンA052のつもりで突っ込んでいくとアドバンネオバAD09は鳴いちゃうし、そこから踏み込んでいけない。タイトコーナーでもアンダー/オーバーが顕著です。でも、アドバンネオバAD09はとにかくタレない! タイヤが持つ最高性能の領域を長く使えるので、ラップタイムは安定するはず」と菊地靖選手。

続けて「もちろん一発のグリップ力はA052が上ですが、棲み分けがハッキリしているので、ユーザーも選びやすいんじゃないでしょうかね。純粋にサーキットでタイムを狙うならアドバンA052、ストリートをメインにするならアドバンネオバAD09。もちろん、これは非常に高いレベルでの話なので、大半はアドバンネオバAD09で満足できるはずですよ」とのこと。

HKSテクニカルファクトリーの見解

今回のテストの“仕掛け人”であるHKSテクニカルファクトリーの菊池さんは、アドバンネオバAD09について次のように見解を述べてくれた。

「クルマを買ってチューニングを進める時、ウチでは車高調の導入→タイヤ&ホイール交換という流れをお勧めしていますが、セカンドステップでこのアドバンネオバAD09は最高の選択肢になりますね。値段だけを見てタイヤ銘柄に拘らないユーザーも多いですが、タイヤはクルマの性能を決定づける大きな要素です。アドバンネオバAD09を選ぶからこそ見えてくる世界が確実にありますよ」。

快適性とグリップ性能を高次元でバランスさせた令和のハイグリップラジアル。タイヤ選びもチューニングパーツと同様の軸で行なうとするならば、アドバンネオバAD09は最有力候補に挙がる一本と言えよう。まだ見ぬ愛車の真価を味わう鍵が、そこにあるのだから。

PHOTO:金子信敏
●取材協力:HKSテクニカルファクトリー 埼玉県戸田市美女木5-2-8 TEL:048-421-0508

【関連リンク】
HKSテクニカルファクトリー
https://www.hks-tf.co.jp

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