「公道に降り立ったGT500マシン!?」流麗なワイドシルエットで魅了するエスプリNSX

GT500を連想させる圧巻のワイドボディ仕様

精悍なエアロダイナミクスを身にまとったエスプリNSX(II型)。その低く身構えた姿勢とワイドなボディは、GTマシンと見紛うほどの迫力だ。もちろん心臓部にも手が入り、外観に見合ったハイレスポンスな350ps仕様を創出。ターボ勢と互角にやり合えるNAマシン、その全貌に迫っていく。(OPTION誌2001年10月号より抜粋)

心臓部はハイレスポンスなC32B改350馬力!

スターターボタンを押すと、その心臓部はいとも簡単に鼓動を打ち始めた。とてもNAで350psを発生するエンジンとは思えないスムーズさだが、それもそのはず。エスプリで施されたチューニングは吸排気系+αのみ。スロットル径を90φに拡大し、オリジナルのタコ足&マフラーで排気を抜き、F-CON Vプロでコントロールする。たったそれだけなのだ。

エスプリ前川代表は「ホンダが自主規制を守るために吸気制限したんとちゃうかね。うちはC32B本来のパワーを引き出しただけ」と分析する。細部を見ていく。

エンジン本体内部はフルオリジナル。エスプリのオリジナルスロットルキット(ワイヤー式スロットル、アダプター、エアクリーナー、サクションパイプ、専用ハーネス)でインテーク環境を見直し、F-CON Vプロによる綿密なマネージメントでC32Bを覚醒させている。

排気系はエスプリオリジナルの3-1EXマニフォールドから60φのフルストレートマフラーに繋がるレイアウト。バイクのようなテールエンドが迫力だ。

C32Bエンジンのスロットルは65φと小径な上に、バタフライバルブをモーターで制御する電制式だ。ワイヤー式に比べてレスポンスが悪いため、スロットルを90φのワイヤー式に変更してハイレスポンス化を実現している。

サスペンションはクァンタムCRベースのエスプリオリジナル車高調。ガス室別体式の2ウェイアジャスター機能付きなので、低速側と高速側の減衰力を独立して調整することができる逸品だ。スプリングはノヴァ製で、前後ともにバネレートは18kg/mmを組む。

フロントブレーキはエスプリが扱うウィルウッド製6ポットキャリパーに交換。ローターサイズも323mmへ大径化を図る。ブレーキパッドは前後ともエンドレス製をチョイスしている。

ステアリングはスパルコのレーサー2。利便性を考慮して脱着式ボスとされている。シートは電動パワーシート機構付きの純正レカロ。シートベルトはウィランズの4点式だ。

追加メーターは左が水温、右が油温。ウルトラの追加メーターは最高速度を表示するための装備。スターターボタンはS2000からの流用だ。

エアロパーツは完全なミックス仕様。フロントスポイラーがタイタ製、ボンネットがアドバンス製、サイドステップがレチャード製ワンオフ、リヤアンダー&トランクスポイラー&エアダクトがマルガヒルズ製。そしてカナードとリヤアンダーディフューザーがエスプリ製となる。現車合わせで製作したというリヤフェンダーはタイタ製にソーサリーのオリジナル製品を組み合わせている。

リヤのトラクションを得るために製作されたワンオフのGTウイング。ダウンフォースは得られたが、抵抗も増してしまい最高速がかなり落ちてしまったために仕様変更を予定しているそう。リヤアンダーディフューザーもエスプリのオリジナル。整流効果を高める働きがあり、高速安定性が飛躍的に向上したという。

ホイールはボルクレーシングのSE37K。フロントが8.5Jの17インチでリヤが9.5Jの18インチと、前後異径サイズを選択している。

エスプリNSXが本来の性能を発揮するのはサーキット。鈴鹿サーキットのS字区間でアクセルを踏んでいけるハンドリング性能、230km/hオーバーからのブレーキングに応える制動力、走行風をグリップに変換するエアロダイナミクス、その全てに明確な目的と役割があり、一寸たりとも狂わず正確に機能する。

今後はエンジン内部にも手を入れる予定があるという。ひとつは筑波サーキットで1分フラットを叩き出すため。そしてもうひとつは、ストリート最速NSXの座を不動のものとするためだ。

●取材協力:エスプリ 三重県鈴鹿市住吉3-19-1 TEL:0593-70-8080

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